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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

60年前の地図

  • 2022/03/31 06:28
  • カテゴリー:読み物

元ソ連の共和国に共通して出てくる問題が、現在のウクライナに集約されている。背景にはソ連時代の民族政策がある。

関眞興編著「くらべて楽しむ地図帳-60年前と現在の世界地図」(山川出版社、2021年)から(p78)。最寄り図書館の新着コーナーにあった。

「ウクライナとベラルーシ」の項で、その民族政策の一端を知ることができる(p81)。ウクライナは、ロシア革命後の国内権力闘争を経て、1922年にソ連に加盟。しかし、ウクライナ人の民族意識が高く、スターリンに睨まれる。クリミア半島に住むタタール人らが中央アジアに追いやられそこはロシア人の入植地とされる。スターリンの死後、フルシチョフは懐柔策を採り、1954年にクリミア半島をウクライナへ割譲。1991年ソ連の崩壊とともにウクライナは独立するが、西部は親西欧、東部は親ロの傾向が明らか。その対立が深まる中、2014年にクリミア半島をロシアに占拠される。さらに東部の二地域が独立を宣言。ロシアが裏面で工作している。

幼い頃から地図を見るのが好きで、家にあった地図帳をよく眺めていた。本書に掲載されている60年前の地図と似たような版図だったろう。ソ連やユーゴスラビアがあり、アイルランドはエールだったしバングラデシュは東パキスタンだった。南アフリカの独立国はまだまだ少なかった。

伯母がこんなことを言ったことがある。幼稚園児やったあんたに、おばちゃん、アフガニスタンの首都知ってるか、と訊ねられたんよ、と。変なガキだったのだ。長じて大学入試を受ける時には、共通一次で地理Bを選んだ。高校では地理Aだったので地理Bを学んではないけれど、園児の頃からの蓄積を活かして多少なりとも点数を稼いだのだった。

ロシア軍ウクライナ侵攻ウクライナ大統領演説(いずれもサイト内)

中野のお父さん3

  • 2022/03/29 06:29
  • カテゴリー:読み物

豊かさには、そういう、人を甘やかす罠がある。噛んで固いものを、味わえなくなったりする。

一度カラー画面を知ってしまうと白黒では楽しめなくなる。北村薫著「中野のお父さんの快刀乱麻」(文藝春秋、2021年)に収載の「小津安二郎の義理人情」から(p129)。シリーズ第3作。

娘の田川美希が提示する謎を、「お父さん」探偵が鮮やかに解く。探偵のfirst nameは記されていない。著者のもう一つの日常の謎シリーズ〈円紫さんと私〉でも二人の内一人の名が明かされない。ただし、こちらは謎を持ち込む側の「私」。

太宰治と松本清張(p15)、正岡容(p87)、和田誠「お楽しみはこれからだ」(p191)、将棋(p209)、「波乱万丈」1978年の古今亭志ん朝「三軒長屋」(p302)

北村薫(サイト内)。落語協会分裂騒動|Wikipedia

棲月

  • 2022/03/25 06:27
  • カテゴリー:読み物

当たり前じゃないか。夢なんて簡単に叶うものじゃない。だが、望まない限り叶わないというのも事実だ。いろいろな人の夢の総和が未来なんじゃないか

今野敏著「棲月-隠蔽捜査7」(新潮社、2018年)から(p231)。

殺人事件とサイバー攻撃、ははあん、この二つは関係があるんだろうな、どんな風に繋がって来るのだろうか、という読み方になる。まったく無関係に見える複数の事件が実は、というのはこのシリーズで前にもあった。パターンの一つなのかもしれない。

主人公の竜崎は、本作を最後に警視庁大森署から神奈川県警へ異動する。新たなポジションは刑事部長。横山秀夫著「64」にこういう記述があった。「刑事部長ポストがキャリアの指定席となっている警察本部は全国で十に満たない」(p380)。どうやらその一つが神奈川のようで、地元生え抜きが、刑事部長ポストをキャリアから取り戻したことがあったけれどそれは一代限りであとは「ずっとキャリアポストだ」(p455)。次作(隠蔽捜査8)でこの辺りの事情が語られるだろうか。

今野敏サイバー対策64(ロクヨン)(いずれもサイト内)

中野のお父さん2

  • 2022/03/23 06:32
  • カテゴリー:読み物

せっかちだと、色々なものを捨てることになる。粗筋や結論だけ知っても、読んだことにはならない。大事なのはむしろ、無駄なこと、本論以外のところにある

北村薫著「中野のお父さんは謎を解くか」(文藝春秋、2019年)に所収の「キュウリは冷静だったのか」から(p189)。シリーズ第二作。

もし「お父さん」探偵が図書館のリファレンス係だったら、色んな疑問、質問に対して的確に回答するんだろうな。だいぶ捗りそうだ。それは前作を読んだ際にも思った。

# 北海道出張、15年10月(サイト内)。「時の娘」(p260)、教えたい欲求(p313)

スポーツと経済学

  • 2022/03/21 05:59
  • カテゴリー:読み物

ある企業は自社に所属するスポーツ選手に金銭的および物的支援をすると、スポーツ選手が活躍することで企業の知名度が上がったり、従業員のモラール、帰属意識や一体感が高まったりして、彼・彼女らの生産性が向上し、その結果、企業の売上増加につながることが期待できる。

それを、経済学の用語、例えば、外部性や、公共財、CSRなどを引いて説明している。なるほどそういうことなんだな。勉強になる。引用は、佐々木勝著「経済学者が語るスポーツの力」(有斐閣、2021年)から(p153)。なかなかの良書。最寄り図書館でたまたま目にして借りて来た。

帯にこうある。「スポーツの潜在力を経済学が掘り起こす!」。スポーツは「社会に幅広い効果をもたらす」「多くの人に感動と活力を与え、社会全体の幸福度を高める」と。

いつだったか、新聞の社説に「スポーツはさまざまなことを教えてくれる」とあったのを思い出した。記事に登場する女性アスリートの挿話が印象に残っている。

彼女の名を、別の機会に聞いたことがある。さる私学の経営者と話をした折のこと。たまたま彼女がその大学に籍を置いていた。大学の所属で競技へ出場することを望んだのだが入学前から企業の支援を受けており所属先の変更は容れられなかった云々という話だった。随分苦々しく語っていた。それ以来、学籍のあるアスリートの所属先は、大学にとってデリケートな問題になったようだった。

「さまざまなことを教えてくれる」スポーツではある。一方で、その周辺では、良きにつけ悪しきにつけ、「さまざまな」人たちが色んなことを考えている。特に、アスリートやその活動における宣伝効果が注目される。それもまた経済学の範疇にある。

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