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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

詩と反詩

  • 2021/02/15 06:33
  • カテゴリー:読み物

それは何処でもない私たちの国の、私たちの土地のおくに見えていたもので(略)、破滅的な農村恐慌と兇作の底に沈んでいる十五年戦争の入口の日本の村のイメージなのである。

著者にとっての戦争のイメージは「何よりこんな風」だった。「詩と反詩」黒田喜夫全詩集・全評論集(勁草書房、1968年)に収載の「わが内なる戦争と戦後」から(p124)。この小篇が発表されたのは、「週刊読書人」1967年8月号。

東北地方の貧しい村々は、凶作に次ぐ凶作で飢饉に喘いでいた。1929年、世界恐慌に伴い生糸と米の価格下落。1931年、満州事変。冷害により東北で大凶作。1933年、三陸津波で東北沿岸部に甚大な被害。1934年、記録的な大凶作。1935年、全国の小作争議件数がピークに。1937年、盧溝橋事件、日中戦争始まる。国が戦争に動き出した時、農民たちは、貧困から逃げるようにして、兵役に就き、また満蒙開拓に志願したのだった。

黒田喜夫昭和農業恐慌|Wikipedia、小作人組合数および小作争議件数

日本のいちばん長い日

  • 2021/02/12 06:57
  • カテゴリー:読み物

政治性ゼロの政治力を発揮できた源は何か、といえば、無私無我ということにつきる。"私"がないから事の軽重本末を見誤ることがなかったし、いまからでは想像もつかぬ狂気の時代に、たえず醒めた態度で悠々としていられたのである。

ポツダム宣言、原爆投下、迫る米ソの侵攻。緊迫する状況下、鈴木貫太郎首相は、二度まで聖断を仰ぎ、「強引に国の運命をみちびいてくるという奇妙な政治力」を発揮したのだった。半藤一利著「日本のいちばん長い日 決定版」(文春文庫、2006年)から(p88)。

鈴木貫太郎(1868-1948)|Wikipedia。国体(天皇御親政、皇室の御安泰)。作家の半藤一利さん死去 90歳(1/13)。「歴史探偵」半藤一利さん 亡くなる直前の自筆の原稿 出版社に(2/9)。「追悼半藤一利」保阪正康▽マイあさ!(NHKラジオ第1、2/11 7時台)、墨子、非攻、兼愛

遠い接近

  • 2021/02/10 06:55
  • カテゴリー:読み物

池に小石を投げこむ子どもは悪戯の面白さからだが、池の蛙には生命がけだ

松本清張全集第39巻(文藝春秋、1982年)に収載の「遠い接近」から(p135)。この長編、元は週刊朝日に連載された(1971/8/6-72/4/21)。こんな佳作があるんだな。著者の作品で過去に読んだのは、主に短編で、長編は「砂の器」や「渡された場面」など二三冊ほどか。最寄り図書館に全集が揃っているので少しずつ読んでみようと思う。

引用部分を読んで、デール・カーネギーが言ったというミミズの話が頭に浮かんだ。調べてみると、それは "How to Win Friends and Influence People"(1936年、邦訳:人を動かす)に登場する、"Personally I am very fond of strawberries and cream, but I have found that for some strange reason, fish prefer worms. So when I went fishing, I didn’t think about what I wanted. I thought about what they wanted.

せんそうをよむ(サイト内)。ハンドウをまわす、裸梢、頤使、羸痩、辻占、菰野。デール・カーネギー|Wikipedia

尖閣戦争

  • 2021/02/03 07:09
  • カテゴリー:読み物

たとえば北朝鮮の核実験があったときに、日本も核武装を行うべきだと、故中川昭一さんが発言されました。そうしたらライス国務長官(当時)があわてて日本に飛んできた。日米安保があるからそんな心配は無用だとなだめにきたのです。

西尾幹二、青木直人著「尖閣戦争-米中はさみ撃ちにあった日本」(祥伝社新書、2010年)から(p31)。この極東の島国が百年前に何をしたか、世界は忘れてはいない。

安保条約第五条では、アメリカは「自国の憲法上の規定及び手続きに従って」行動すると定められている。それは「議会の意向に従う」ことを意味し、議会での審議は、その結果がどうなるかわからないし、時間もかかる(p59)。今は日本が実効支配しているけれど、もし中国が電撃的に占領し実効支配してしまったら、その時アメリカは中立を守り「今度は中国領として認める」だろう(p56)。

尖閣(サイト内検索)。実効支配(千島列島:ロシア、竹島:韓国)

赤いくじ

  • 2021/01/31 07:08
  • カテゴリー:読み物

くじ引きということはたとえ好ましくない場合でも、心に不思議な愉しみを持たせるものである。

松本清張全集35巻「短編1」(文藝春秋、1972年)に収載の「赤いくじ」から(p327)。この短編の初出は1955年。

征服者になって要求した。貢物を持って来いそうすれば皆に酷いことはしないと。今度は逆に、征服される立場になって、酷い目に遭わされないよう貢物を用意する。人の卑しさは同じだろうと想像したわけだ。貢物として差し出す人身御供を「くじ」で決め用意万端。ところが新たな征服者はジェントルマンだった。

せんそうをよむ(サイト内)。モーパッサン著「脂肪の塊」

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