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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

中野のお父さん3

  • 2022/03/29 06:29
  • カテゴリー:読み物

豊かさには、そういう、人を甘やかす罠がある。噛んで固いものを、味わえなくなったりする。

一度カラー画面を知ってしまうと白黒では楽しめなくなる。北村薫著「中野のお父さんの快刀乱麻」(文藝春秋、2021年)に収載の「小津安二郎の義理人情」から(p129)。シリーズ第3作。

娘の田川美希が提示する謎を、「お父さん」探偵が鮮やかに解く。探偵のfirst nameは記されていない。著者のもう一つの日常の謎シリーズ〈円紫さんと私〉でも二人の内一人の名が明かされない。ただし、こちらは謎を持ち込む側の「私」。

太宰治と松本清張(p15)、正岡容(p87)、和田誠「お楽しみはこれからだ」(p191)、将棋(p209)、「波乱万丈」1978年の古今亭志ん朝「三軒長屋」(p302)

北村薫(サイト内)。落語協会分裂騒動|Wikipedia

棲月

  • 2022/03/25 06:27
  • カテゴリー:読み物

当たり前じゃないか。夢なんて簡単に叶うものじゃない。だが、望まない限り叶わないというのも事実だ。いろいろな人の夢の総和が未来なんじゃないか

今野敏著「棲月-隠蔽捜査7」(新潮社、2018年)から(p231)。

殺人事件とサイバー攻撃、ははあん、この二つは関係があるんだろうな、どんな風に繋がって来るのだろうか、という読み方になる。まったく無関係に見える複数の事件が実は、というのはこのシリーズで前にもあった。パターンの一つなのかもしれない。

主人公の竜崎は、本作を最後に警視庁大森署から神奈川県警へ異動する。新たなポジションは刑事部長。横山秀夫著「64」にこういう記述があった。「刑事部長ポストがキャリアの指定席となっている警察本部は全国で十に満たない」(p380)。どうやらその一つが神奈川のようで、地元生え抜きが、刑事部長ポストをキャリアから取り戻したことがあったけれどそれは一代限りであとは「ずっとキャリアポストだ」(p455)。次作(隠蔽捜査8)でこの辺りの事情が語られるだろうか。

今野敏サイバー対策64(ロクヨン)(いずれもサイト内)

中野のお父さん2

  • 2022/03/23 06:32
  • カテゴリー:読み物

せっかちだと、色々なものを捨てることになる。粗筋や結論だけ知っても、読んだことにはならない。大事なのはむしろ、無駄なこと、本論以外のところにある

北村薫著「中野のお父さんは謎を解くか」(文藝春秋、2019年)に所収の「キュウリは冷静だったのか」から(p189)。シリーズ第二作。

もし「お父さん」探偵が図書館のリファレンス係だったら、色んな疑問、質問に対して的確に回答するんだろうな。だいぶ捗りそうだ。それは前作を読んだ際にも思った。

# 北海道出張、15年10月(サイト内)。「時の娘」(p260)、教えたい欲求(p313)

スポーツと経済学

  • 2022/03/21 05:59
  • カテゴリー:読み物

ある企業は自社に所属するスポーツ選手に金銭的および物的支援をすると、スポーツ選手が活躍することで企業の知名度が上がったり、従業員のモラール、帰属意識や一体感が高まったりして、彼・彼女らの生産性が向上し、その結果、企業の売上増加につながることが期待できる。

それを、経済学の用語、例えば、外部性や、公共財、CSRなどを引いて説明している。なるほどそういうことなんだな。勉強になる。引用は、佐々木勝著「経済学者が語るスポーツの力」(有斐閣、2021年)から(p153)。なかなかの良書。最寄り図書館でたまたま目にして借りて来た。

帯にこうある。「スポーツの潜在力を経済学が掘り起こす!」。スポーツは「社会に幅広い効果をもたらす」「多くの人に感動と活力を与え、社会全体の幸福度を高める」と。

いつだったか、新聞の社説に「スポーツはさまざまなことを教えてくれる」とあったのを思い出した。記事に登場する女性アスリートの挿話が印象に残っている。

彼女の名を、別の機会に聞いたことがある。さる私学の経営者と話をした折のこと。たまたま彼女がその大学に籍を置いていた。大学の所属で競技へ出場することを望んだのだが入学前から企業の支援を受けており所属先の変更は容れられなかった云々という話だった。随分苦々しく語っていた。それ以来、学籍のあるアスリートの所属先は、大学にとってデリケートな問題になったようだった。

「さまざまなことを教えてくれる」スポーツではある。一方で、その周辺では、良きにつけ悪しきにつけ、「さまざまな」人たちが色んなことを考えている。特に、アスリートやその活動における宣伝効果が注目される。それもまた経済学の範疇にある。

所属契約の解除(サイト内)

1945年8月8日・長崎

  • 2022/03/19 06:29
  • カテゴリー:読み物

新聞紙に移した干しうどんを選り分けていた。大事に仕舞い過ぎてでた青黴を削ぎ落すために。

いつもとかわらぬ日々の暮らしがある。明日何が起こるかを人々は知らない。引用は、井上光晴著「明日」(集英社、1982年)から(p119)。副題は、一九四五年八月八日・長崎。本書のことは、深谷考著「野呂邦暢、風土のヴィジョン」で知った。

登場する施設名、例えば、浦上第一病院、浦上刑務支所、長崎医大、附属病院、城山国民学校、鎮西学院など、どれも意図して選ばれている。被災地図を見て愕然とした。

ピークとは何か(サイト内)。長崎原爆の物理的被害|長崎大学原研

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