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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

超・殺人事件

  • 2024/08/03 05:43
  • カテゴリー:読み物

こういう小説を読んで、正解に至ったためしがない。二時間ドラマの犯人なら、役者を見ればわかるんだけどな

確かにそうだ。引用は、東野圭吾著「超・殺人事件」(角川文庫、2020年)に所収の「超犯人当て小説殺人事件・問題編」から(p94)。最寄り図書館で借りた。

著者は、小説家仲間や、出版関係、書評家、読者らに対して、思うところがあって、時々こうやって吐き出すんだろうな。やや楽屋オチの傾向あり。帯に「切れ味抜群、毒気満載。」とある。毒気はたっぷり仕込まれているけれど、切れ味はどうだろうか。

東野圭吾(サイト内)

手紙

  • 2024/08/01 05:43
  • カテゴリー:読み物

私はまだ道楽を始めませんから、だいじょうぶですというはがきが来た。重吉の用いたこのまだという字がいかにもおかしく思われた。妻に、当人本気なのかなと言ったくらいである。

重吉に縁談話があり本人も乗り気なのだが、先方から女道楽をしない堅い人でなけりゃと条件が付く。夏目漱石「手紙」(1911年)から。

あれは5月のことだった。野党の立憲民主党は、政治資金パーティーの全面禁止を規定する法案を衆院に提出しておきながら、党幹部はパーティを続けていることが判明した。仮に法案が成立しても、施行までには2年以上の経過期間がある、その間にパーティを開くことは何ら問題ないと釈明した。

この報道に触れて、これに似た話があったなぁと思ったもののタイトルは頭に浮かんで来なかった。2か月ほど経って、ふとしたことで、それは漱石の短編であると思い出した。

果たして、重吉は遊び人だった。「だいじょうぶ」という言葉はまったくの嘘。「君のような道楽ものは向こうの夫になる資格がない」と指摘されると、「僕は病気なんかに、まだかかりゃしませんよ」と開き直るのだった。

# 夏目漱石政治資金(いずれもサイト内)。夏目漱石「手紙」|青空文庫、立民幹部の政治資金パーティーは「全面禁止法案」と矛盾? 泉健太代表は記者会見で何と答えた【一問一答】(東京新聞、5/24)

握手のマナー

  • 2024/07/29 05:46
  • カテゴリー:読み物

握手のマナーで大事なことは、相手の力を確かめながら、同じ力で握ることが望ましい。いきなり強く握って驚かせるのはヤボだし、反対に相手よりも握り返す力が弱いと、不本意なのに仕方なく手を握っているように思われてしまう。

妹尾河童著「河童の手のうち幕の内 」(新潮社、1992年)から(p259)。

武器は持っていません、敵意はありません、と手を差し出す。

よろしくない握手は四つと習った。強すぎる、弱すぎる、これらは上の引用にもある。あとの二つは、近すぎる、そして、濡れている。

欧州で何度か近すぎる握手を経験したことがある。握手したまま、ぐっと体を寄せて来る。顔も接近する、つばきも来る。逃げるわけには行かない。

濡れた握手、中国の取引先でのことを覚えている。先方の担当者が社長に会う機会をつくってくれた。社長室のある階を訪ねると社長はちょうど用を足していたようで、そのドアから出て来るところだった。廊下での挨拶となった。社長さんの手は濡れていた。

愛読書十選 (1)(サイト内)

金鵄のもとに

  • 2024/07/18 05:56
  • カテゴリー:読み物

俺は、ブーゲンビルにいた。証拠だと? そんなものあるか。証拠はこのおつむの中の、記憶だけだよ。

染井に声をかけて来た男もブーゲンビル島からの帰還兵だった。浅田次郎著「帰郷」(集英社文庫、2019年)に所収の「金鵄のもとに」から(p206)。

命からがら帰国した染井は、男の誘いに乗って、傷痍軍人になる道を選ぶ。人様の施しを受ける、特に米兵の投げるドルだ、それが生き抜くための「最善にして唯一の方法」だと考える。この話、どうも後味がよろしくない。

傷痍軍人の姿が記憶の中にある。母に連れられて明石駅へ出る度に見かけた。まだ就学する前だったから、1960年代の後半ということになる。考えてみると、戦争が終わって既に20年は経っていた。その頃でも彼らは街頭にいたんだな。

戦争(サイト内)。傷痍軍人|Wikipedia

陸王

  • 2024/07/12 06:05
  • カテゴリー:読み物

倒産ってのは、ぎっくり腰みたいなもんなんですよ

ある日、突然、出る。一度やると大抵クセになって、またいつか発症する。会社の経営者も同じようなもので、倒産グセがある。そんなことを専務の富島が言う。

引用は、池井戸潤著「陸王」(集英社、2016年)から(p209)。

斜陽の足袋業者が、会社存続のために新規事業を思い立つ。これまでに培って来た足袋製造技術を活かしてランニング・シューズの開発に挑む。

池井戸潤(サイト内)

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