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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

天皇陵の謎

  • 2024/11/27 06:05
  • カテゴリー:読み物

一国の歴史に光と影の部分が背中合わせに存在するのは、当たり前のことである。歴史を眺める場合に最も慎むべきは、現在があらゆる面で至上の時代という慢心である。

幕末や明治の時代に色々あったろうけれど、それを「揶揄する気にはなれない」と。矢澤高太郎著「天皇陵の謎」(文春新書、2011年)から(p50)。

お話は、古い時代の天皇のお墓のこと。

初代の神武やそれに続く「欠史八代」は、神話で語られる架空の天皇であり、その「存在は完全に否定されている」。が、彼らの墓は、「新造、改造、変造」されて、ここですよと定められている。陵墓研究者の中には「捏造」の用語を用いる人もいる。

時の為政者にとって、国の始祖の存在は絶対的なもの。その存在なくして自らの歴史を語ることができない。彼のお墓はここですとせずにはいられない。その考えは、既に、壬申の乱の頃にはあった。

天皇親政による近代国家の建設を進めた明治政府もその考え方を引き継いだ。西洋列強と伍して戦う、我々は怪しい者ではない。正統な歴史を持っている。そう胸を張るには、その証拠を何としても用意し整えなければならない。始祖たちの墓は、明治のリーダーたちの苦闘の跡なのだ。と。

失われた兵士たち(サイト内)。壬申の乱 672年、古墳時代 3~6世紀

ドイツの新右翼

  • 2024/11/07 06:06
  • カテゴリー:読み物

AfDに投票し、Pegida(ペギーダ)やアイデンティティ運動に参加するような市民であっても、自分たちがどのような思想的系譜に立っているかまで把握していることは少ないはずである。「八紘一宇」を称賛した国会議員や、それに喝采した支持者たちが、必ずしも戦前の日蓮主義とアジア主義の展開を理解しているわけでないのと同じと考えればよい。

AfDの位置付けを説明するのに、八紘一宇を持ち出す。その喩えの方が難解で、かえって話は判り難くなっている。時々そういうのを目にする。

引用は、フォルカー・ヴァイス著「ドイツの新右翼」長谷川晴生訳(新泉社、2019年)に所収の訳者著「もう一つのドイツ-保守革命から新左翼へ」から(p432)。

欧州で極右勢力の台頭が続く。第二次大戦後、ナチスとの決別を誓ったはずのドイツにもその波が押し寄せている。2017年、ドイツ連邦議会選挙において、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が得票率5%を突破して議席を確保した。今年9月には、東部テューリンゲンの州議会選で、AfDが3割超の票を得て第1党になった。

急進右派は突然現れたわけではない。彼らは、モーラー(Armin Mohler、1920-2003)が唱えた「保守革命」の後継者と自らを位置付け、シュミット(Carl Schmitt、1888-1985)が構想した秩序を目指し政策立案を進める。この二人こそ、ドイツにおける「新右翼の理論的支柱」である。

世界が「きしむ」音が聞こえる。米国の次期大統領にトランプ氏が返り咲き、その音は益々大きくなって行くのだろうか。 

独ポピュリスト政党躍進(サイト内)。ふたつの敗戦国 ドイツ さまよえる人々▽映像の世紀バタフライエフェクト(NHK総合、10/28 22時)、Erika Steinbach(1943-)、米大統領にトランプ氏 分断の深まりを憂慮する(11/7)

無理ゲー社会

  • 2024/11/04 05:42
  • カテゴリー:読み物

あらゆる生き物は、損失=苦痛を避けて利益=報酬を獲得する強力なエンジン(モチベーション)を脳(中枢神経系)に埋め込まれている。意識しているかどうかにかかわらず、わたしたちは、自分より恵まれたものを妬んでその地位から引きずり下ろそうとし、劣った者を蔑んでいい気分になろうとするよう進化の過程で「設計」されている。あらゆる社会問題の根底に、この生物学的メカニズムがあるのだろう。

橘玲著「無理ゲー社会」(小学館新書、2021年)から(p263)。

ヒトもその「強力なエンジン」を載せている。社会に様々な格差が生まれる根本理由はそこにあるのだろう。経済格差が拡大すると多くの人が憂いている。が、「ここに希望がないわけではない」と著者は書く。

経済格差は、お金の分配の不均衡のこと。国家が、集めたお金を公正に再分配すれば経済格差の問題は解消する。はずなのだが・・・

橘玲再分配(いずれもサイト内)。財源なきトンデモ社会保障論、正論いわぬ与党にも責任(11/3)

定年後の作法

  • 2024/11/01 05:05
  • カテゴリー:読み物

なにか、心を通わせて話したいときには、横並びで話すことです。

向かい合うのは対決関係、並んで座ると共視関係。二人で同じ方向を見て、相手の視線を外しているので、心が対立することが少ない。

引用は、林望著「定年後の作法」(ちくま新書、2020年)(p227)から。

「あるいは九十度や斜向かい」もいい。私の好みは90度。基本的に視線は外しているけれど相手と向き合うことも難しくない。共視と対決の切り替えが思いのままにできる。

フレームワーク十選(サイト内)

素読のすすめ

  • 2024/10/30 06:03
  • カテゴリー:読み物

60の手習いよろしく、源氏物語を熟読している。徹底的に音読する。源氏を読む際の第一の心得は音読であると教わったからであり、何回も音読すると、少しずつ内容が見えてくる。読むごとに、作品の深みと充実度を実感することができる。

高橋昭男著「仕事分の書き方」(岩波新書、1997年)に、そんな話が記されている。

「書き上げた後に」の章では、自分が書いた文章を、何回も読み、そして書き直す、それを納得が行くまで繰り返すことをすすめている。小見出し「素読のすすめ」(p176)。源氏の話はそこに登場する。

素読において留意するポイント。1) 一回読んだだけで、内容を理解できるか、2) 一文が長過ぎないか、3) 読点のつけ方が適切か、4) 文章全体にリズム感があるか、5) 伝えたい情報の流れが円滑か、6) パラグラフが長過ぎないか。

Cause and result ルール光る君へ(いずれもサイト内)

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