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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

罪悪

  • 2021/04/29 07:26
  • カテゴリー:読み物

あなた、話が長すぎるのよね。小説を聞かせてくれといっているわけじゃないの。金の在処がわかればいいのよ。

フェルディナント・フォン・シーラッハ著「罪悪」酒寄進一訳(東京創元社、2012年)から(p146)。前作の「犯罪」同様、これも短編集。それに日本語訳があやしい箇所が多々あるのも同じ、それを割り引いても楽しめる点も。

この科白が登場する「鍵」が特にいい。コインロッカーの鍵をめぐって、一本足りないような男がドタバタを繰り広げる。薬の代金25万ユーロを集金に来た女に主導権を逃げられるのだが・・・。

犯罪(サイト内)

新薬の狩人たち

  • 2021/04/27 06:58
  • カテゴリー:読み物

科学の世界ではしばしば、何かについて研究し始めた科学者が、別のなにかに思いがけず出くわしたことで非常に重要な発見がなされることがある。

ワクスマン(Selman Waksman、1888-1973)は、農作物の収穫量を改善するために土壌微生物を研究対象とした。それが結核治療薬ストレプトマイシンの発見に繋がる。引用は、ドナルド・R・キルシュ、オギ・オーガス「新薬の狩人たち-成功率0.1%の探求」寺町朋子訳(早川書房、2018年)から(p147)。Honzの紹介記事で本書のことを知ったのは3年前。ようやく図書館から借りて来て読んだ。

巻末に大部な原注がある。出典の文献を記す程度のものではなく、関連するやや専門的なエピソードが丸々記されているそれらは、おそらく編集段階で選別され後ろに回されたのだろう。それにより、本文は煩雑さから免れて、著者の意図するところが明確に浮かび上がっている。

かつて新薬の探索に携わっていたこともあって、類書は少なからず読んで来た。それらに比べて、本書は出色の出来だと思う。解説に「本書は、この分野の金字塔」とあるのは決して大袈裟ではない。

# 合理的設定より個人の芸術的手腕(p263)。『新薬の狩人たち』創薬-人類最難の事業に挑む|Honz。TeixobactinBIA 10-2474ラッセル・マーカー|Wikipedia。Marker Degradation: Creation of the Mexican Steroid Hormone Industry

東野圭吾公式ガイド

  • 2021/04/24 07:01
  • カテゴリー:読み物

分析的に書いている記事やブログなんかは、まあいいと思うんですよ。「少なくとも書いた本人にとってうそではないんだろうな」という目で読んでいます。

ネット情報との付き合い方、「おおむね疑ってかか」る。東野圭吾作家生活35周年実行委員会編「東野圭吾公式ガイド-作家生活35周年ver.」(講談社文庫、2020年)所収、ロングインタビュー「東野圭吾最強小説家の秘密」から(p292)。新聞は、「ある程度は信頼でき」る。購読紙は、朝日、日経、毎日、読売の4紙とか。

加賀恭一郎シリーズの「希望の糸」(2019年)に関して、著者は、「次につながっている」「大きな伏線が含まれている」と記している(p204)。

東野圭吾(サイト内検索)

政党と支持基盤

  • 2021/04/23 06:55
  • カテゴリー:読み物

自民党の支持基盤というのは、戦後の農地改革などで揺らいだ戦前以来の既成政党の支持基盤を五五年体制下の利益誘導政治によって固め直して形成されたもの

『現代思想』第46巻第2号(青土社、2018年2月)所収の、インタビュー、中北浩爾「対立構造の変容と政党政治の機能不全」から(p85)。自民党と支持者とを結び付けているのは「地域の人的ネットワーク」。それは昔も今も変わらない。日本会議の影響力が一時話題になったが、「自民党の地方組織がそれに乗っ取られたとはいえない」。

「保守リベラル(=中道)という立ち位置」(図1、p81)。日米安保に肯定的(保守)かつ、日本国憲法に肯定的(リベラル)。各々の逆側は、日米安保に否定的=革新、日本国憲法に否定的=右派。

この号を借りて来たのは、「転倒する保守とリベラル―その空虚さをいかに超えるか」宇野重規×大澤真幸、がOPACでヒットしたからだった。

# 那覇市に波浪警報が発令。1時間で1mmほどの雨、東の風11.3m/s(6:30)。台風2号は、こちらには来ない、現在、470kmほど南の辺りにあって、15km/時の速さで北東へ進んでいる模様。

同い年事典

  • 2021/04/21 06:41
  • カテゴリー:読み物

二人は人生の旬が異なる時期にやってきたため、「同い年」には見えないのだ。

二人とは、1909(明治42)年に生まれた、太宰治と松本清張のことを言っている。太宰治は若い頃から書き38歳で他界。一方、松本清張は41歳で小説家人生を始めた。黒川祥子著「同い年事典」(新潮新書、2009年)から(p3)。

同い年に見えないのは、1913(大正2)年生まれの二人もそうだろうか、織田作之助と足立巻一。オダサクは26歳の時に「夫婦善哉」を発表し33歳で没した。足立の評伝三部作など代表的な諸作は60歳過ぎてからだ。75年に「やちまた」で芸術選奨文部大臣賞を受賞、85年に72歳で没した。

足立巻一(サイト内検索)。太宰治 (1909-48)、松本清張 (1909-92)、織田作之助 (1913-47)、足立巻一 (1913-85)

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