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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

リプレイ

  • 2023/01/25 06:15
  • カテゴリー:読み物

一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見る。君の掌に無限を、そして一時間に永遠をつかみたまえ

ケン・グリムウッド著「リプレイ」杉山高之訳(新潮文庫、1990年)から(p428)。県立図書館で借りた。再読、たぶん30年ぶり。

いわゆる「ループもの」。1988年に43歳で死亡した主人公ジェフは、18歳の1963年に逆戻りしてしまう、「記憶と知識は元のまま」に。それを何度か繰り返すのだが、回を重ねる度に戻る時の年齢が増え、「リプレイ」する期間が短くなって行く。そして最後には...

ジェフが遡って行く1963年は、J.F.ケネディが暗殺される年。S.キングの「11/22/63」はその日付がタイトルになっている。過去へ時間旅行し、ある事件の発生を阻止したら、その後の世界はどうなるのか、それは「時間もの」によくあるパラドックス問題だ。大統領暗殺事件は解りやすい題材なのだろう。

上で引用したのは、19世紀初頭にW.ブレイクが書いた詩"Auguries of Innocence"の冒頭部分。ジェフが先に唱え、パメラが応える。原文だと以下の二行ずつに当たる。

To see a world in a grain of sand
And a heaven in a wild flower,
Hold infinity in the palm of your hand,
And eternity in an hour.

11/22/63(サイト内)。Grandfather Paradox、William Blake(1757-1827)、Auguries of Innocence|Wikipedia

# 今朝も雨。6時の気温は9.7度、未明に8度台まで下がったようだ(8.4度、02:37)。風は弱まった。

ミレニアム6(下)

  • 2023/01/12 06:19
  • カテゴリー:読み物

新しい何かの始まる時が、確かに来たようだった。

これにてシリーズ完結。ダヴィド・ラーゲルクランツ著「ミレニアム6-死すべき女」ヘレンハルメ美穂・久山葉子訳(早川書房、2019年)下巻から(p279)。

頑張って読み通した。シリーズの第4-6部は、この著者が書いている。第3部までのトーンを踏襲した第4部はまあまあの出来だった。以降については「ラーゲルクランツの個性が少しずつ前面に出てきている」と訳者あとがきで指摘されている。はっきり言って、この第6部に至っては駄作になった。ラーソン著の第3部までで一応完結しているので、そこまでにしておいた方が良い。

引用部分は最後の行から採った。ようやく次の本を始める時が来た。

「ミレニアム」ラーソン(いずれもサイト内)。エミルー・ハリス(p112)

ミレニアム6(上)

  • 2023/01/09 06:19
  • カテゴリー:読み物

意見というのは、歳をとって賢くなったら変えるものだ

マッツ・サビーンなる人物の言葉。ダヴィド・ラーゲルクランツ著「ミレニアム6-死すべき女」ヘレンハルメ美穂・久山葉子訳(早川書房、2019年)上巻から(p161)。

Googleで、ずばりヒットがない場合に、もしかしてこれでは、と類推された検索結果が並ぶことがある。その内の一つに目星を付けて、さらに追いかけて行く。が、まったく見当外れの調査になってしまう。実世界ではよくあることだ。

この小説の中でそれが起こった。マッツ・サビーンはGoogleが提案して来た名前だった。調べを進めたところ、本筋とは全然関係のない人物だと判って来る。かと言って、寄り道したことで、主人公の葛藤が増えるとか、ストーリーが緊迫するとか、そんな新たな要素を著者は用意しない。単に文字数を稼ぐ手段になってしまっている。

この本、つまらないなぁと思い始めた頃にその寄り道にうんざりし、読むスピードは益々上がらない。何とか上巻を読み終えたのだった。

「ミレニアム」(サイト内)。「戦争は減っている」(p182)、「歩きながらミーティングをする」(p201)

革命的半ズボン主義宣言

  • 2023/01/03 06:26
  • カテゴリー:読み物

全体が見渡せないで、気がついたらズーッと自分の前にブラ下がっている"義務"という不思議なものの存在を、疑うことなしに受け入れて、その"義務"と自分とを何かがつないでいる筈だと勝手に思いこんで、その間の欠落を"使命感"というもので埋めるというのは、自分で自分の首を締めてるようなもんです。

使命感なんか発明したから全体像が見渡せる別の地点へ一歩身を引くことができなくなってしまった。橋本治著「革命的半ズボン主義宣言」(冬樹社、1984年)から(p227)。読みたい本リストの底の方にあった。この本のことを何で知ったのか覚えていない。

著者は「私が書いた本の中で一番分りの悪い本である筈」(p264)と書いているし、読む側のこちらの理解度にも問題があって、この本、よくわからん。「夏の暑さに半ズボンを穿かない」をキーワードに、義務、特に男の義務、について縷々考察しているようなのだが。

# 橋本治(1948-2019)

無思想の思想

  • 2022/12/27 06:29
  • カテゴリー:読み物

思想的民族というのが、世界にはふんだんにいます。しかしながら日本人は、それに入っていない。日本人は思想がゼロではないかといわれる。が、私にはどうもそうではなく、無思想という思想が日本人の底の底にあるのではないかと思う。

この部分がNHKの番組(2016年)で引かれているのを見て、いつか読んでみようと思っていた。司馬遼太郎著「手掘り日本史」(毎日新聞社、1976年)。引用はその中の「無思想という思想」から(p165)。

日本人には「原始的なまだ神道ということばすらなかったころのある種の宗教感情」に根差した「美意識」があって、それは、後に、仏教や、儒教、マルキシズムなど様々な思想が入り込んで来ても、変わることなく受け継がれた。

太平洋戦争の頃に皇国主義に毒されてしまった。それは「取り除いたほうがいい」「あの狂躁だけはムダだった」。その主義を残している人は不思議なことに「たいていアメリカと手をにぎりたがる」。

愛蘭土紀行保守と大東亜戦争(いずれもサイト内)。NHKスペシャル「司馬遼太郎思索紀行~この国のかたち」▽香川照之、第1集「島国ニッポンの叡智」、第2集「武士700年の遺産」(NHK総合、2016/2/13,14 21時)

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