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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

虹滅記

  • 2022/07/20 06:30
  • カテゴリー:読み物
生きているうちに五十回忌を営むことはめずらしいことで、長生きしたしるしなのだという。

足立巻一著「虹滅記」(朝日文芸文庫、1994年)から(p75)。

例えば、自分が30歳の時に身内が亡くなり、50年経ち80歳になって死者の五十回忌法要を営む、ということだ。現在の高齢化社会では十分にあり得る。が、年忌(特に33以上)の習慣がなくなって来ているのではないだろうか。

見開き2ページに3か所も印が付いている。引用箇所はその一つ。最初に読んだときのものだろう。1998年だと思う。この頃は文章に線を引くのではなく欄外に!を書いていた。専ら小さい付箋(巾7mmほど)を貼り付けた時期もあった。今は書き込まないし付箋も貼らない。あとで読書メモに抜き書きすることになるのだから、端からPC(かスマホ)で入力する。ページ数と一言二言だけにしておいて一冊読み終えた後に補完する。

祖父の五十回忌にはぜひ呼んでくれと従姉に頼んでおいたのだけれどなぜか連絡をもらえずその法要には参列せずじまい。事後に知った。10年ほど前のこと。

虹滅記(サイト内)

ア・ピース・オブ・警句

  • 2022/07/18 06:23
  • カテゴリー:読み物

七重八重 花は咲けども 山口のヒモつきの客のみぞ悲しき

言うまでもなくパロディだ。元は、太田道灌の故事で有名なあのヤマブキの古歌。小田嶋隆著コラム集「ア・ピース・オブ・警句」(日経BP、2020年)から(p349)。本書の副題は、5年間の「空気の研究」2015-2019。nikkei.comにコラム連載時は、世間に転がる意味不明、という副題が付いていた。

引用した歌は、コラム「今年の桜はどんな気持ちで見るだろう」の中のイラストに添えられている(イラストも著者によるものなのだろうか)。コラムは、2019年11月15日に掲載され、その年に表面化した「桜を見る会」の醜聞を採り上げている。

あの会が、仕事の中に紛れ込んで来たことがあった。もう5年も前のことになる。

プロジェクトのあるメンバーが、次のミーティングに出席できないと言って来た。またしても我が儘か。ほとほと閉口した。数日前に日程調整して、皆が都合つく日を選んだばかりじゃないか、いったい何があるのだ、と問うと、総理大臣が主催する花見に招待されたと言う。何となく聞いたことがあった「桜を見る会」を、この時、はっきり認識した。安倍さんやその事務所によるスキャンダルが暴かれる以前の2017年春のことだった。

そういえば、その3年前、プロジェクトに着手する頃にも安倍さんを少し意識するような場面があった。そのテーマは、政府のあるお役人との雑談にヒントを得てスタートした。背景などを調べていて一枚の写真が目に留まった。そのお役人が長になった組織の、いわゆる看板掛けのセレモニーをとらえていた。彼や当時の担当大臣ら何人かが写っていたけれど、写真の主人公は、看板に手を掛けた安倍さんだったのだ。

その後のことを書いておこう。プロジェクトは成功し発展的に解消した。私はその成果を見るよりもだいぶ前に、そうそう、あのメンバーの我が儘な発言がきっかけとなってプロジェクトを抜けた。「桜を見る会」の問題はモリカケ等とともに忘れ去られてはいない。安倍さんの死がそれらにどう影響するだろうか。あのお役人は、桜とは別の不祥事が露見して役所を去った。それと、2017年春の招待には応じたのだったかなぁ、記憶にない。彼女はあの宴に参加したのだろうか。

# 七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき(後拾遺和歌集19巻1154)。桜を見る会問題|Wikipedia、小田嶋隆さん死去 コラムニスト(6/24)、安倍元首相が死去、67歳 最長政権樹立、非業の死 アベノミクス、安保法制を推進(7/8)

アリゾナ無宿

  • 2022/07/15 06:27
  • カテゴリー:読み物

緊張するのは当然だし、むしろ緊張しなければならない。人間は、気が緩んだときに失敗する、と相場が決まっているからな

ジェニファは賞金稼ぎのトムから銃の扱い方を教えてもらう。引用は、逢坂剛著「アリゾナ無宿」(新潮文庫、2005年)から(p150)。単行本は2002年刊。

西部劇だ。19世紀のアリゾナ。サムライも活躍する。西部劇(映画)に日本人が登場することについて、著者は別の小説で、アリゾナ州の史家には「サムライでも参加させるつもりかね。それはいくらなんでも、作りすぎだろう」(「墓石の伝説」p450)と、日本の評論家には「もっと積極的な関りを持たせてもいいんじゃないか」(同p514)と、各々語らせている。

トムのフルネームは、Tom B. Stone、名高い「OK牧場の決闘」の地、Tombstoneだ。

シリーズ化されているらしい。次も借りて来よう。

墓石の伝説(サイト内)

墓石の伝説

  • 2022/07/13 06:29
  • カテゴリー:読み物

あまりきっちりと頭の中で組み立てると、イメージの飛躍がなくなります

逢坂剛著「墓石の伝説」(毎日新聞社、2004年)から(p271)。

そういえば逢坂さんの著作リストにアリゾナの文字を見た覚えがある、何だったか、と調べてみるとすぐに判った。「アリゾナ無宿」だ。関連する「墓石の伝説」も併せて借りて来てこっちを先に読んだ。岡坂神策が登場するのにはちょっと驚いた。90年代に「十字路に立つ女」などシリーズ数冊を読んだことがある。

タイトルにある墓石は英語でtombstone、それはアリゾナの地名だ。いわゆる「OK牧場の決闘」の舞台となった街。あの有名な決闘は、史実とは少し違って伝えられている。本書はその真実に迫ることを軸にした物語り。なかなかマニアック。津神久三著「ワイアット・アープ伝」(1988年)を下敷きにしているようだ。

グローフェの山道を行く(サイト内)。映画は芸術じゃなく、娯楽だ(p95)

あの戦争と日本人

  • 2022/07/11 05:50
  • カテゴリー:読み物

歴史の教訓からもっと学ぶべきリアリズムが消えてしまうのは、日本人の非常に困ったところです。あえていえば、太平洋戦争の真の敗因は、日露戦争の勝利にあったのです。いや、なぜあのような愚かな戦争をしたのか、ということも、つきつめると勝利の神話のみを語り継いできたため、といえるかと思います。

半藤一利著「あの戦争と日本人」(文藝春秋、2011年)から(p67)。

東郷平八郎は、勝って兜の緒を締めよと言ったけれど、そうはならなかった。のちに教訓となるような不都合な事実は、勝ったという一点によって、帳消しにされてしまったのだ。海軍も陸軍も、洗いざらい事実を記録に残しているにも拘わらず、それらは秘され、別途編纂された官修戦史によって日露戦の美談のみが語り継がれることになった。

独ソ戦(サイト内)。海軍の「極秘明治三十七八年海戦史」全150巻と、陸軍の「手稿本 日露戦史」全51巻(p61)

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