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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

旅人の表現術

  • 2020/11/16 06:35
  • カテゴリー:読み物

他社を〈抜く〉ことがどれだけ快感で、他社に〈抜かれる〉ことがどれだけ悔しいことかは、記者を経験したものでなければ分からないだろう。記事が読者に有用かどうか、そんなことは記者にとってはどうでもよいことである。抜いたかどうかだけに記事の価値はあるのだ。

ノンフィクション作家・探検家の著者が、かつて自身が新聞記者だった頃の思い出話を語る。角幡唯介著「旅人の表現術」(集英社、16年)に収載の「『影の地帯』と黒部の強盗」から(p338)。

沢木耕太郎氏が、著者との対談でこんなことを言っている(p40)、「探検と冒険を区別するのは、たった一点だと思う。探検はアウトプットを必要とする。冒険はアウトプットを最終的な目的としない」。整理と整頓、方向と向きなど、違いを知っておいた方が良い言葉のリストに加えておこう。

極夜行(サイト内)。開高健「ベトナム戦記」、本多勝一「極限の民族」、ドミニク・ラピエールら「さもなくば喪服を」、夢枕獏「神々の山嶺」、服部文祥「百年前の山を旅する」、三浦しをん「神去なあなあ日常」

静かなノモンハン

  • 2020/11/12 07:04
  • カテゴリー:読み物

軍は、ノモンハンから還った下士官は、内地へ帰すな、という暗黙の指示を隷下部隊に与えていた。(略)ノモンハンの実情を知る下級幹部に対しては、軍はどこまでも監視の眼をゆるめず、事あるごとにその者を、遠方の危地へ追いやろうと意図している。金鵄の与えられている功績者に対してさえ、こうした一種の「処分」がつきまとった。

伊藤桂一著「静かなノモンハン」(講談社文庫、86年)のあとがきから(p233)。第二章の小野寺伍長は、ノモンハンでの働きによって功七級金鵄勲章を授与されている。上司の好意で内地に戻り勤務を続ける内に第二次大戦が始まり、一木支隊や山崎部隊が編成される折、その要員に加わるよう命じられる。が、いずれの時もたまたま出張先にあり、部隊の出発に間に合わなかった。後に各々ガダルカナル島、アッツ島で玉砕する部隊だった。

ノモンハン事件|Wikipedia、戦傷、日本軍17千人、ソ連軍26千人。対談:司馬遼太郎/伊藤桂一(p236)。半藤一利「ノモンハンの夏」(文藝春秋、98年)

海軍めしたき物語

  • 2020/11/11 06:51
  • カテゴリー:読み物

水加減といっても、シャバの一般家庭の小さな釜と同じだったことには驚いた(略)、だいたいのところ手のくるぶしの上位ということ

戦艦の烹炊所では、化学プラントの反応釜のような装置で飯を炊く。高橋孟著「海軍めしたき物語」(新潮文庫、82年)から(p116)。最近、棟田博の一連の著作を読む内に、この本のことを思い出し図書館で借りた。「面白半分」で連載(77年1月-79年3月号)を読み、単行本(79年8月刊)も読んだ。無性に懐かしい。

この文庫版には足立巻一による解説が付いている。出版の年、82年は、足立の名著「虹滅記」が刊行された年でもある。

1263夜『やちまた』(サイト内)、面白半分|Wikipedia

2020年の米国と日本

  • 2020/11/07 10:12
  • カテゴリー:読み物

トランプ政権は「アウトサイダーの大統領」と「共和党保守派」の合同政権となっている。両者の間には「トランプ大統領は保守派が持つ様々な政局・選挙・政策上の資源を利用しつつ、保守派もトランプ大統領の発信力・イメージを隠れ蓑として自らの政策を実現する」という共生関係が成立している。

政権の公約達成率はそこそこ高い、それも難しいものから熟(こな)している、と何かで読んだことがある。大統領の派手な言動やツィートは言わば「オトリ」であり、メディアや国民がそれに惑わされている隙に、イデオロギー色の強い保守派の政策を実現して来たのだった。渡瀬裕哉著「メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本」(PHP新書、20年)から(p24)。

新着コーナーにあるのをたまたま手に取った。大統領選の開票が進むこの時期にタイムリーな読み物だ。この本の第四章「2020年大統領選後」には、「トランプか民主党か」は問題ではない、軍事行動は似たり寄ったり、トリプルブルー政権がもたらす「経済成長の鈍化」、などの小見出しが並んでいる。この章からもう一つ引用しておこう(p147)。

大統領個人のパーソナリティというよりは、「連邦議会の多数派がいずれになるのか」「米軍が大規模な軍事行動を起こせる余力があるか」を丹念に分析することが大事

現時点(11/7 10時 JST)の開票速報は、大統領は民主党のバイデン候補、上院は共和党、下院は民主党、各々の優位を伝えている。このまま行くとトリプルブルーは回避されそうか。

コロナ禍の陰で格差と民主主義(いずれもサイト内)

格差と民主主義

  • 2020/11/06 06:48
  • カテゴリー:読み物

問題の存在を認めない「否認」、問題を認識しても責任逃れをしようとする「エスケープ(逃避)」の願望、問題を引き起こした人を「スケープゴート(身代わり)」にする傾向、そして、最悪なのが、問題改善の可能性を信じようとしない「シニシズム(冷笑)」である。

人が労力を惜しむ4つのメカニズム。ロバート・ライシュ著「格差と民主主義」(東洋経済新報社、14年)から(p168)。リーダーは他の人々を動かして、なすべきことを完遂させなければならない。そのためには、「世間のほとんどの人たちの頭に巣食っている」この4つのメカニズムを克服できるよう、手を貸す必要がある。

富裕層と金融取引に課税、企業助成対策と軍事費は削減、それをやってから、学校や、高等教育、幼児教育、道路、橋、公園、環境、公衆衛生、医療など、この国の未来に投資する(p176の図から)。

岐路に立つ資本主義(サイト内)

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