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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

宇垣一成

  • 2020/10/15 06:33
  • カテゴリー:読み物

人は誰しもみな、多かれ少なかれ毀誉褒貶のなかに生きている

棟田博著「宇垣一成-悲運の将軍」(光人社、79年)、あとがき(p224)から。本書は評伝ではあるけれど、あたかもフィクションそれも大層良質なフィクション、例えば J・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」、のようだ、読み終えてそんなことを思った。

宇垣一成の評価は定まらない。ひとえに毀誉褒貶の程度が「超特級」であったからと著者は書く。反宇垣派が、槍玉に挙げるのは、宇垣軍縮(25年)であり、三月事件(31年)である。しかし、その軍縮は、実質ほとんど縮小せず、「軍を近代化へ導いた」とその貢献が評価されもする。また三月事件は、それがクーデターを企図したものでありながら、「未遂に終わったのを惜しむ声が少なくなかった」。宇垣という大器が総理になれなかったことに、「死児の齢を数えるに似た悔恨」を抱く人物もあった、その後の悲惨な戦争を避け得たのではないかと。

拝啓天皇陛下様(サイト内)。「温故知新」の掛軸、「岡山大学建設用地」の木札

ナンバーワン企業の法則

  • 2020/10/12 06:33
  • カテゴリー:読み物

世の中には、もっぱら最低のコスト(したがって、最低の価格)で信頼できる製品やサービスを提供してもらうことを求める顧客もいれば、製品そのものの性能がすぐれていることを望む顧客もいる。また、人間らしいケアやアドバイスを強く要望する顧客もいる。

マイケル・トレーシーら著「ナンバーワン企業の法則」(日経ビジネス人文庫、03年、原著95年刊)、その「文庫化に寄せて」から(p335)。神戸大の金井壽宏教授によって書かれた、この6ページほどの小文が簡潔で要領を得たまとめになっている。それは「複雑な現象を知りたいと思ったら、まず納得のいく分類体系にふれるのがいい」と始まり、上で引用した、トレーシーらによる顧客の三類型へと繋がって行く。

医薬中間体という商材がある。これは、やっかいなことに、三類型各々が求める価値すべてを満たす必要があると、ずっと思って来た。コスト、性能(品質)、そして顧客との親密性。この本を読んだ08年以降、一つの価値を優先させることに切り替えた。それが見事に奏功しビジネスは、よりスムーズに展開するようになった。

先輩とのメールのやり取りの中でこの本のことに触れた。また読んでみようと図書館のDBに照会したところ、最寄り市立には蔵書されておらず県立にあった。

フレームワーク十選池に魚はいるのか(いずれもサイト内)

拝啓天皇陛下様

  • 2020/10/09 06:02
  • カテゴリー:読み物

きのうが無事にすぎたという事実は、きょうもまた無事にすぎるのではないかという希望をいだかせるものである。

「棟田博兵隊小説文庫」第6巻(光人社、80年)に収載の「拝啓天皇陛下様」(初出62年)から(p118)。同名の映画(松竹、63年)を、渥美清の代表作にあげる人は少なくない。その原作が最寄り図書館にあったので読んでみた。これは面白い。解説にも、ユーモア小説としても「当代第一級」と記されている。

慣れ親しんだ地名が随所に登場する、半田山、奉還町、旭川などなど。それもそのはず、そこは、おれが学生時代の6年間を過ごした街だ。我が母校(49年発足)は、著者らが応召した陸軍師団の兵営跡地に建設されたのだ。建設と言っても、当初、教室など大学施設には「兵隊屋敷」を流用したようだ。入学した81年、主要な棟は既に建て替え済みだったけれど、当時でさえ、元は兵舎の古い木造が構内のあちこちに残っていた。身近なところでは、オーケストラが練習場にしていたボックス棟や、保科先生の宿所に使った建物、合宿所と言ったかな、それに、書籍部が入っていた平屋建て。確か、大学の本部棟もそうだった。農学部の裏手にも何棟かあった。隅の方にあった男子寮も木造だった。あれから40年、師団時代の建築からだと百年を超える、今はどうなっているだろうか。またその内に、新旧の地図や航空写真で確かめてみよう。

# 営門通り(大学筋)、師団道(国道53号線)、練兵場(運動公園)、万町の踏切、一人一殺(血盟団事件、五・一五事件)、台児荘戦(38年)、宇垣一成、おそれ多くも、わやく、物干場、三装の乙、ポコペン(不彀本)、死了(スーラ)、明白(ミンパイ)。今昔マップ on the web地図・空中写真閲覧サービス

Re: 殺戮のオデッセイ

  • 2020/10/06 06:22
  • カテゴリー:読み物

人間だれでも自分の中に自分を二人かかえているもんだ。一人はよく知っているやつで、もう一人は知らないやつ、いや、知りたくないと思ってるやつだ

ロバート・ラドラム著「殺戮のオデッセイ」下巻(角川文庫、87年)から(p153)。上中下三巻をやっと読み終えた。

シリーズ前作の「暗殺者」に比べてだいぶ見劣りがする。そもそもの基本設定が承服できない。国は、J・ボーンをその気にさせるために彼の妻マリーを誘拐する。それは必要はことなのか。彼は、筋金入りの(元)工作員だ、家族を人質にされなくても、国のためなら一肌も二肌も脱ぐ用意はあるはずなのに、と疑問(や同情)を抱いて読み進める。案の定、そんなことしなくたって、その気になったのに、となっていく。

殺戮のオデッセイ(サイト内)

殺戮のオデッセイ

  • 2020/10/04 06:44
  • カテゴリー:読み物

人に自分の望む結論を出させようと思ったら、まことしやかな嘘よりも、目に見えるものを見せてやるほうがはるかに効果がある

ロバート・ラドラム著「殺戮のオデッセイ」上巻(角川文庫、86年)から(p358)。「人を動かす引き金となるパターン」という表現も出て来る(p66)。

見せる、動かす、と来ると思い出すのは、山本五十六のあの言葉、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」。同僚のH(佐賀県出身)がこれをポストイットに書いて手帳に貼り付けているのを見たことがある。それには続きの語句も並んでいた、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」。

暗殺者(サイト内)

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