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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

ルール

  • 2022/08/17 06:06
  • カテゴリー:読み物

むしろ、統一されすぎた言語は人を容易に欺く。対象の姿を自在に欺瞞してしまうそれは諸刃の剣だ。退却を転進にし、集団自殺を玉砕にし、敗北を勝利にする。そんな偽りの言葉を必要としてしまう人間の集団など、所詮老いを化粧で誤魔化しているだけだ。

古処誠二著「ルール」(集英社、2002年)から(p284)。終戦の日に読んだ。敗戦ではなく終戦の日に。

戦争小説だとは知らなかった。と言うか忘れていた。読みたい本リストの下の方にタイトルと著者名だけがあった。図書館から借りて来て開く前にはスポーツものだろうかと思ったりもしたものだが読んで驚いた。帯に「慟哭」の文字がある。実際、そうしてしまいそうな場面がいくつかあった。

タイトルになった「ルール」という文字は一度だけ登場する(p206)。それは、尊厳や、人間的な反応、羞恥、と形を変えて繰り返し語られる。

鳴神中尉、姫山軍曹、八木沢一等兵、そしてオースティン・スミス大尉、しばらく彼らのことを考えて過ごすことになりそうだ。

文庫100冊(サイト内)

木のいのち木のこころ

  • 2022/08/15 06:35
  • カテゴリー:読み物

その人はそれでちゃんとした職人ですし、性根というのは直せるものやないんですわ。やっぱり包容して、その人なりの場所に入れて働いてもらうんですな。曲がったものは曲がったなりに、曲がったところに合う所にはめ込んでやらな、いかんですな。人とうまくやっていけなくても使い道はあるんです。

人は、自身の「能力以上のことはできまへん」と見限るけれど、決して見捨てるようなことはしない。引用は、西岡常一著「木のいのち木のこころ・天」塩野米松聞き書き(草思社、1993年)から(p112)。

法隆寺大工に多くの口伝が伝わっている(p144)。「百工あれば百念あり、これをひとつに統ぶる。これ匠長の器量なり。百論ひとつに止まる、これ正なり」というのがあるとか。

棟梁文庫100冊(サイト内)

無私の日本人

  • 2022/08/13 06:20
  • カテゴリー:読み物

人の心は種である。果てしない未来を拓く種である。一粒の種が全山を満開の桜の山に変えるように、心さえしっかりしていれば、驚くほどの奇跡も成し遂げられる。

磯田道史著「無私の日本人」(文藝春秋、2012年)から(p24)。武士にお金を貸し、利子で郷里を潤す、前代未聞の事業を成し遂げた穀田屋十三郎らの話。

言い回しが司馬遼太郎に似ている、何箇所かでそう思った。

文庫100冊(サイト内)

核兵器

  • 2022/08/11 06:32
  • カテゴリー:読み物

もし仮にいま存在する全ての兵器を取り上げたとしたら、人類は、その辺に転がっている棒切れを拾って、また殺し合いを続けるでしょう。

ヒトは、人類誕生以来の闘争心を持ち続ける限り、殺し合いを続ける。多田将著「核兵器」普及版(明幸堂、2019年)の跋文から(p423)。本書では核兵器の構造と動作原理が詳述されている。作り方は載っていない。

HONZ代表成毛眞氏推薦と帯にある。「知的好奇心の絶大な高揚を抑えることができない。今年最高の本!」

核兵器の物理学ロシア軍、化学兵器か(サイト内)。『核兵器』テクノロジーの世紀にこそ学ぶべき核兵器の恐ろしさ|HONZ

逆襲の地平線

  • 2022/08/09 06:33
  • カテゴリー:読み物

何が言いたいのか、よく分からなかった。どちらにしても、前置きが長いのは結果が悪かった証拠だ

逢坂剛著「逆襲の地平線」(新潮社、2005年)から(p303)。シリーズ第2作。

前作は「アリゾナ無宿」。今回はそのアリゾナからお隣のニューメキシコに入って、コロラド、ワイオミング、モンタナと、ロッキー山脈に沿って北上。壮大な旅が繰り広げられる。

新聞を読む場面がある(p223)。1876年のアメリカだ。記事は、グラハム・ベルの電話発明や、ベースボール初の公式戦(ナショナル・リーグ)、保安官事務所で働いていたワイアット・アープが解雇される等々。そのアープと「何年かのちに関わりをもつことに」と記されている。アリゾナのOK牧場辺りを舞台にした主人公らの物語が構想されているのだろうか。あの有名なOK牧場の決闘が起きるのは1881年のこと。

つづく第3、4作は、時代を遡って、日本人サグワロについて語られるようだ。

アリゾナ無宿(サイト内)

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