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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

古文書の科学

  • 2024/07/09 06:01
  • カテゴリー:読み物

分析を行う際、まず初めにこの分野で何を解明したいかを考えることが必要である。特に、各調査者の感覚に左右され、自分の仮説に都合の良い利用につながるような、相対的(主観的)な分析項目や識別基準は避けるべきである。

渋谷綾子、天野真志著「古文書の科学ー料紙を複眼的に分析する」(文学通信、2023年)から(p168)。最寄り図書館の新着コーナーにあった。

1990年代、サーチャー(DB検索技術者)として研究者の調査を手伝う仕事をやっていたことがある。既存製法や原料ソースなど具体的な調査の依頼もあったけれど、それは研究者本人でも調べられるので、どちらかと言うと、着手する前に展望を得ようとする相談が多かった。意外なことに「何を解明したいか」がはっきり認識されていなかったりして、研究のグランド・デザインを一緒に描くようなことが少なくなかった。そんなことを思い出した。

本書の構成は、第1部「古文書料紙への視点」、第2部「料紙の構造をさぐる」、第3部「料紙から古文書を読む」、第4部「料紙研究を広げる」。料紙というあまり馴染みのない言葉が頻発する。使われている紙のこと。

史料調査ハンドブック「古文書を科学する 料紙分析はじめの一歩」

戦争が迫ってきた時に読む

  • 2024/07/04 05:38
  • カテゴリー:読み物

考えなくて済むことを求めている。

我々民衆はそうなりがちだ。気を付けないといけない、勢いだけの似非リーダーに付け入るスキを与えないように。

ジョージ・ソーンダーズ著「短くて恐ろしいフィルの時代」が、ブックガイド番組で紹介されていた。NHKプラスで観た。

この日の選書テーマは「戦争が迫ってきた時に読む本」。ほかに紹介されたのは、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ著「戦争は女の顔をしていない」、石内都著写真集「ひろしま」。計3冊、意外な取り合わせだった。

終わらない戦争「日本人の正体」(いずれもサイト内)。理想的本箱 君だけのブックガイド 選「戦争が迫ってきた時に読む本」(NHK Eテレ、6/22 21時)

錦繍

  • 2024/06/08 05:52
  • カテゴリー:読み物

女中は御飯をよそってくれ、しばらく黙っていましたが、やがて、毎年あの日が来ると、床の間に花を飾ることにしているのだと言いました。

宮本輝著「錦繍」(新潮文庫、1985年)から(p182)。

時々この本を読みたくなって引っ張り出して来る、「毎年」というほどの頻度ではないのだけれど。先日また読んだ。その折、友人宛てメール、正確にはLINE、にこう書いた。

「錦繍、読んだよ。亜紀と令子、女性二人の健気さ、いじらしさ、たくましさに、うるっとしてしまった。何度読んでもそうなる。それに、一番気になるのは、ぱあっと花が咲いたみたいな、きれいな人(p183)、由加子のこと。これも毎度そう。モーツアルトの話がうっとおしいし、生きるとか死ぬとか説教くさいところが鼻につくけれど、男の気持ち、女の気持ちが感じられるこの物語が好き」。

愛読書十選 (1)(サイト内)

かめれおん日記

  • 2024/06/07 05:47
  • カテゴリー:読み物

落胆しないために初めから欲望を持たず、成功しないであろうとの予見から、てんで努力をしようとせず、辱めを受けたり気まずい思いをしたくないために人中へ出まいとし、自分が頼まれた場合の困惑を誇大して類推しては、自分から他人にものを依頼することが全然できなくなってしまった。

ちくま日本文学全集「中島敦」(筑摩書房、1992年)に所収の「かめれおん日記」(昭和十七年十一月)から(p339)。

失敗しても自尊心が傷つかないように事前に失敗の種子を蒔いておく。これを、ビジネス書的なジャーゴンで、セルフ・ハンディキャッピングと言う。

Re: 愛読書十選「権力」を握る人の法則(いずれもサイト内)

敗戦国の艦船はどうなる

  • 2024/06/05 06:05
  • カテゴリー:読み物

第一次世界大戦と違うのは、敗戦国には戦勝国に引き渡せる大型海上戦艦がほとんどなかったことだ。

第二次世界大戦、終わってみると、日本やドイツの主要戦艦のほとんどは撃沈されてしまっていた。戦後、戦勝国が利用できたのは、日本の戦艦長門と巡洋艦酒匂(さかわ)、そしてドイツの巡洋艦プリンツ・オイゲンの3隻だった。3隻は、1946年、ビキニ環礁で、核実験の標的艦にされた。

第6章「20~21世紀の難破船」では二つの大戦で沈んだ船の物語に多くのページが割かれている。戦前の1912年に沈没したタイタニック号もこの章に登場する。A・G・ジェイミソン著「沈没船からみる世界の歴史」(原書房、2023年)。上の引用は、p282から。

第一次世界大戦の場合、敗戦国、特にドイツの艦船はどうなったのだろうか。戦後ドイツには、戦艦16隻など74隻もの艦船が残っていた。ごっそり戦勝国へ引き渡されイギリスの海軍基地に抑留される。のだが、独海軍の提督は自身の艦隊を自沈させる挙に出る。戦勝国に分配されることをおそれたのだった。イギリスは、怒りを表明したものの、実は「この最新のドイツ戦艦が他国の艦隊に加わらなかったことに安堵もしていた」(p254)。

色々な思惑がある。

沈没船からみる世界の歴史エヴァーギヴン号(いずれもサイト内)。長門 (戦艦)酒匂 (軽巡洋艦)プリンツ・オイゲン (重巡洋艦)|Wikipedia

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