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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

残酷すぎる成功法則

  • 2020/07/28 06:45
  • カテゴリー:読み物

私たちは選択権を持つことが好きだ。しかし選択をすることは嫌いだ。選択肢があることは、可能性を意味するが、選択することは、その可能性を失うことを意味する。そして選択肢が多いほど、後悔する機会も増えることになる。

エリック・バーカー著「残酷すぎる成功法則」(飛鳥新社、17年)から(p318)。橘玲監訳。成功や失敗にまつわる様々な挿話が紹介されており示唆に富む。盛りだくさんでお腹一杯になってしまう。原書の副題、The Surprising Science Behind Why Everything You Know About Success Is (Mostly) Wrong

ガワンデ医師とコーチ(p218)、「説明する」は戦争を仕掛けているのと同じ(p224)、傾聴する、相手に考えさせる(p230)。幸福の四要素:幸福感 [楽しむ]、達成感 [目標を達成する]、存在意義 [他者の役に立つ]、育成 [伝える](p324)、計画立案によるコントロール感(p333)、ToDoリストと時間割(p340)、気がかりな事は書き留めて脳の活動(リハーサルループ)をオフに(p346)

Personal Best - Top athletes and singers have coaches. Should you? By Atul Gawande. September 26, 2011

近代日本一五〇年

  • 2020/07/27 06:17
  • カテゴリー:読み物

かつて東アジアの諸国を侵略し、二度の原爆被害を受け、そして福島の事故を起こした国の責任として、軍需産業からの撤退と原子力使用からの脱却を宣言し、将来的な核武装の可能性をはっきりと否定し、経済成長・国際競争にかわる低成長下での民衆の国際連帯を追究し、そのことで世界に貢献する道を選ぶべきなのだ。

山本義隆著「近代日本一五〇年」(岩波新書、18年)のあとがきから(p292)。技術開発は軍事力と結び付いているという視座で開国後の150年を眺めている。日本政府は常に軍事力の強化を考えて来た。現在、核武装でさえその射程に入っている、その事実に背筋が寒くなる。副題は、科学技術総力戦体制の破綻。

原型炉「もんじゅ」の廃炉が決定され(16年)、東海村の再処理施設が火災爆発事故を起こし(97年)、六ヶ所村再処理工場の稼働が見通せない。いかに不都合な事情が重なっても、日本政府は、増殖炉建設と再処理による核燃料サイクルの計画(表向きの口実)を放棄しない。核武装(裏の理由)に直結するプルトニウムを備蓄するためだ。原料を公然と確保する一方で、原子力開発を「我が国の安全保障に資することを目的」にもできると原子力基本法に書き加え(12年)、核兵器の保有は合憲であるとその政府答弁を安倍内閣は閣議決定した(16年)。国連の核兵器禁止条約への署名も頑なに拒んでいる。「現行憲法下でも、自衛のための核兵器保有は許される」と表明(57年)した岸信介元首相の意思は、「一部の政治家と外務官僚」によって脈々と受け継がれている。(p265-282)

鉄鋼や、化学、電機など20世紀型の基幹産業は国際競争力を失い、半導体や自動車も保ちそうにない。ITや情報産業は大幅に遅れている。この「状況下で、現在、政府と財界が画策しているのが、原発輸出とならんで「経済の軍事化」、すなわち軍需生産の拡大と武器輸出である」(p248)。安倍内閣は、防衛装備移転三原則を閣議決定し(14年)、武器輸出を事実上全面解禁した。

六ケ所の再処理工場、事実上合格 稼働は見通せず

祝祭と予感

  • 2020/07/22 06:32
  • カテゴリー:読み物

楽譜というのは、音楽という言語の翻訳であり、そのイメージの最大公約数でしかない。演奏者はその最大公約数から作曲家が考えた元のイメージを推測する

だから、元のイメージを汲み取れないことはままある。恩田陸著「祝祭と予感」(幻冬舎、19年)から(p80)。「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ6篇、どれも話が出来過ぎている。

「蜜蜂と遠雷」の後それほど間を置かずにこれを読むことができた。県立図書館に予約しておいたところ一か月ほどで順番が回って来た。市立は6冊蔵書しているけれど数十件の予約が入っており、こちらだと忘れた頃にやって来たことだろう。

Re: 蜜蜂と遠雷(サイト内)。勝負は時の運(p30)、料理と音楽は似ている(p151)

官邸ポリス

  • 2020/07/21 07:35
  • カテゴリー:読み物

この事件に関係して接待を受けたことのある政官界人の名簿を入手していた。が、この時点では使わず、将来のために取っておくことにした。

将来のために取っておかれる名簿は色々あると想像できる。コカインやってる芸能人のリストもあるに違いない。引用は、幕蓮著「官邸ポリス」(講談社、18年)から(p192)。かつて警察庁に奉職した著者が、世を騒がせたあの事件この事件への官邸の関与を暴く。副題は、総理を支配する闇の集団。

そういう闇の集団がいることについて、けしからんと言っているのでは決してないし、必要悪だと悪びれる風でもない。あって当然でしょと、どちらとか言うと肯定的なトーンで書いている。暴露本でありながら、政権寄りの人も不快にならずに読める。反政権の人は、やっぱりそうだったのかと憤慨しながらページをめくる。どちらのサイドの読者も楽しめるんじゃないだろうか。

「誰が政権を担っても、そう大きくは変わらない」「国民が真に安心して生活できるようにするためには、信頼される政権が必要」(p7)、「政権安定のためにすべきは、総理および周辺者を守ること、霞が関をコントロールすること、そして、政敵や反政府マスコミを叩くこと」(p194)。「最大の懸念の一つは、総理夫人」(p56)

ピエール瀧槇原敬之(2件Wikipediaから)。12閣僚が日本会議官邸官僚(この2件はサイト内)。首相を支配する官邸ポリス、闇の警察集団…首相の敵対人物を追い落とし、世論操作

裏小倉

  • 2020/07/20 06:53
  • カテゴリー:読み物

さらしまく いもりのやまの でんじはは かっぱのかばの ざしきなりけり [通釈]不能。

この句を不意に思い出して、県立図書館で借りて来て久しぶりに読んだ、筒井康隆著「裏小倉」。小倉百人一首、全百首のパロディ。初出、オール讀物77年6月号。高1の時に読んだのは単行本「バブリング創世記」(78年)、それは市立、県立ともに蔵書になく、今回、筒井康隆全集第19巻(新潮社、84年)を借りた。

「バブリング創世記」の短編の内、この第19巻に収載されているのは、裏小倉の外に、死にかた、発明後のパターン、廃塾令、ヒノマル酒場、三人娘、そして、上下左右。残りの3篇、バブリング創世記、鍵、案内人、は第17巻に。

# あらし吹く三室の山のもみぢ葉は,龍田の川のにしきなりけり(能因法師,69)

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