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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

教育反対の経済学

  • 2022/12/01 06:27
  • カテゴリー:読み物

学業で成功するのは良い仕事を獲得するにはいいが、良い仕事をするすべを学ぶ方法としては役に立たない

多くの雇用主が、学業・学歴を手っ取り早い採用基準としている以上、所謂いい大学を目指さないわけにはいかない。しかし、そこでは「卒業後は使わない退屈な内容を山ほど学びながら過ごす」ことになる。

ブライアン・カプラン著「大学なんか行っても意味はない?-教育反対の経済学」月谷真紀訳(みすず書房、2019年)の「結論」から(p407)。原著 The Case against Education: Why the Education System is a Waste of Time and Money [Bryan Caplan, 2018]

著者の主張するところは一理ある。が、「良い仕事をするすべ」とは一体どんなものだろうか、とか、一見「使わない退屈な」学問が人生を豊かにしてくれる可能性がある、どうやら普通の学校(四年制総合大学含む)と職業訓練校を区別して議論する必要がありそうだ、など、いくつか気になることはある。

ABEMAの「本日無料」で映画を観ていたら、こんなやり取りがあった。「こういう仕事って特殊な技術でしょどうやって勉強したの」「この会社に入ってから教わりました」「へえこういう仕事って素人でも雇ってもらえるの」。映画「カラスの親指」(2012年)での上田耕一、能年玲奈(のん)お二人の会話。

プリズン・ブック・クラブABEMA(いずれもサイト内)

運も実力のうち

  • 2022/11/29 06:29
  • カテゴリー:読み物

「一寸先は闇」というが、それは「一寸先は光」ということでもある。幸運な人の前には光が、不運な人の前には闇がある。

最近、出先でちょっと待ち時間がある時などにこの本を開くことが多い。秋庭道博著「ことばの切れ味」(東洋経済新報社、1992年)。引用はそのp16から。

日曜日、実家へ電話した折、11月場所で遠藤が負け越したと母は残念がっていた。高安はまたもや惜しいところで優勝を逃したとか。運はなかなか味方してくれない。サッカーW杯の方はどうだろう。その電話の頃にはもうコスタリカ戦は始まっていた。サッカー日本は運を引き寄せることが出来るだろうか、と思ったものだ。

ことばの切れ味(サイト内)。気の毒を絵に描いたようだったのは高安。何と声をかければよいのか言葉がない【北の富士コラム】(11/28)、ワールドカップ 日本 コスタリカに敗れ決勝T進出は持ち越し(11/28)

卵をめぐる祖父の戦争

  • 2022/11/28 06:26
  • カテゴリー:読み物

暗闇の中でふたりの声に耳を傾けていると、風が窓をがたがた揺らし、ストーヴの中で最後の燃えさしが爆ぜた。この世で一番淋しい音はほかの男女が愛を交わす音だ。

薄い壁越しに聞こえて来る声に青年は悩まされる。まんじりともできない。デイヴィッド・ベニオフ著「卵をめぐる祖父の戦争」田口俊樹訳(早川書房、2010年)から(p107)。原題は、City of Thieves

戦争の愚かさを綴る反戦の書。一方で、音楽や、文学、恋について語られる。チェスも登場する、重要な場面で。この本のことは「プリズン・ブック・クラブ」で知った。受刑者たちが感想を述べ合うシーンがあったかどうか覚えていない。次に読む本、と紹介されたような気もする。その読書会はさぞ盛り上がったのではないだろうか。

プリズン・ブック・クラブ(サイト内)。ショパンとマーラー(p94)、エリーゼのために(p254)

港湾ニュース

  • 2022/11/24 06:25
  • カテゴリー:読み物

垂直に立ったまま回転しているコインは、どちらの側にも倒れる可能性がある

これからどうなるなんて誰にも判らない。何だって起こり得るのだ。引用は、E・アニー・プルー著「シッピング・ニュース」上岡伸雄訳(集英社文庫、2002年)から(p37)。単行本「港湾ニュース」(1996年刊)から改題。

全537頁、読み通すのに苦労した。主人公のR・G・クオイルに魅力を感じられず感情移入できないのが主な原因。脇役は悪くない。特に、デニスとビーティのバギット夫妻や、ウェイヴィ・プラウズには好感持てる。

この本のことは「目黒考二が選んだ60冊」で知った。目にしてもう20年は経つだろうか、おそらく「本の雑誌」の記事だったと思う。60冊の上位に、1) 虹滅記、2) 遠い崖、3) 蝉しぐれ、4) 港湾ニュース、5) 消えた弟、と並んでいた。

# 虹滅記消えた弟(いずれもサイト内)。Mockingburg, New York, USA(p23)、愛とは菓子の詰め合わせのようなもの(p501)

グリーン・マイル

  • 2022/11/21 06:30
  • カテゴリー:読み物

おかしなことでも奇妙なことでもないさ。理解できないことを経験すると、たいていの人間はそうするんだよ、ただ忘れてしまうんだ。筋の通らないことをいつまでも覚えていたって、役に立つことはないからね。

ブルータス・ハウエルが言う。確かにそうだ。理解しようと下手に解釈した結果、ある種ひずみを心の中に抱えてしまうことがある。引用は、スティーヴン・キング著「グリーン・マイル」白石朗訳(新潮社、2000年)から(p267)。上下2段組み427頁。

そのブルータスは25年ほど後に「魚のサンドイッチを食べながら、テレビでプロレス中継を見ていたとき」に心臓発作で死んだ。ハリー・ターウィルガーやディーン・スタントンも、もういない。ジョン・コーフィの死刑執行の準備が進められる様子を描写しつつ、並行して登場人物らのその後のことが簡潔に知らさせる、この最終章「闇の彼方へ」第10節がたいへん印象深い(p402-408)。誰もが皆死ぬ、その当たり前のことを説き、生きることの意味を問うているかのようだ。

恩師が教えてくれた「溌剌と生くる者にのみ深い眠りがある。生き切った者にだけ安らかな死がある」をふと思い出した。

文庫100冊(サイト内)。書くという行為が多くのドアを開ける(p109)、キャンプファイアそのものよりも燃えかすの方が好ましい(p146)、時はすべてを奪う(p409)

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