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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

拝啓天皇陛下様

  • 2020/10/09 06:02
  • カテゴリー:読み物

きのうが無事にすぎたという事実は、きょうもまた無事にすぎるのではないかという希望をいだかせるものである。

「棟田博兵隊小説文庫」第6巻(光人社、80年)に収載の「拝啓天皇陛下様」(初出62年)から(p118)。同名の映画(松竹、63年)を、渥美清の代表作にあげる人は少なくない。その原作が最寄り図書館にあったので読んでみた。これは面白い。解説にも、ユーモア小説としても「当代第一級」と記されている。

慣れ親しんだ地名が随所に登場する、半田山、奉還町、旭川などなど。それもそのはず、そこは、おれが学生時代の6年間を過ごした街だ。我が母校(49年発足)は、著者らが応召した陸軍師団の兵営跡地に建設されたのだ。建設と言っても、当初、教室など大学施設には「兵隊屋敷」を流用したようだ。入学した81年、主要な棟は既に建て替え済みだったけれど、当時でさえ、元は兵舎の古い木造が構内のあちこちに残っていた。身近なところでは、オーケストラが練習場にしていたボックス棟や、保科先生の宿所に使った建物、合宿所と言ったかな、それに、書籍部が入っていた平屋建て。確か、大学の本部棟もそうだった。農学部の裏手にも何棟かあった。隅の方にあった男子寮も木造だった。あれから40年、師団時代の建築からだと百年を超える、今はどうなっているだろうか。またその内に、新旧の地図や航空写真で確かめてみよう。

# 営門通り(大学筋)、師団道(国道53号線)、練兵場(運動公園)、万町の踏切、一人一殺(血盟団事件、五・一五事件)、台児荘戦(38年)、宇垣一成、おそれ多くも、わやく、物干場、三装の乙、ポコペン(不彀本)、死了(スーラ)、明白(ミンパイ)。今昔マップ on the web地図・空中写真閲覧サービス

Re: 殺戮のオデッセイ

  • 2020/10/06 06:22
  • カテゴリー:読み物

人間だれでも自分の中に自分を二人かかえているもんだ。一人はよく知っているやつで、もう一人は知らないやつ、いや、知りたくないと思ってるやつだ

ロバート・ラドラム著「殺戮のオデッセイ」下巻(角川文庫、87年)から(p153)。上中下三巻をやっと読み終えた。

シリーズ前作の「暗殺者」に比べてだいぶ見劣りがする。そもそもの基本設定が承服できない。国は、J・ボーンをその気にさせるために彼の妻マリーを誘拐する。それは必要はことなのか。彼は、筋金入りの(元)工作員だ、家族を人質にされなくても、国のためなら一肌も二肌も脱ぐ用意はあるはずなのに、と疑問(や同情)を抱いて読み進める。案の定、そんなことしなくたって、その気になったのに、となっていく。

殺戮のオデッセイ(サイト内)

殺戮のオデッセイ

  • 2020/10/04 06:44
  • カテゴリー:読み物

人に自分の望む結論を出させようと思ったら、まことしやかな嘘よりも、目に見えるものを見せてやるほうがはるかに効果がある

ロバート・ラドラム著「殺戮のオデッセイ」上巻(角川文庫、86年)から(p358)。「人を動かす引き金となるパターン」という表現も出て来る(p66)。

見せる、動かす、と来ると思い出すのは、山本五十六のあの言葉、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」。同僚のH(佐賀県出身)がこれをポストイットに書いて手帳に貼り付けているのを見たことがある。それには続きの語句も並んでいた、「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」。

暗殺者(サイト内)

(日本人)

  • 2020/10/01 06:58
  • カテゴリー:読み物

ブキャナンは、「民主政国家は債務の膨張を止めることができない」という論理的な帰結を導き出した。政治家は当選のために有権者にお金をばらまこうとし、官僚は権限を拡張するために予算を求め、有権者は投票と引き換えに実利を要求するからだ。

日本の借金は一千兆円を超えどんどん膨らむ。そのツケは将来どんな風に回って来るのだろうか。橘玲著「(日本人)」(幻冬舎、12年)から(p260)。これは第15章「ぼくたちの失敗・政治編」の中にある。続く第16章は「~経済編」。この二つの章を特に興味深く読んだ。

第15章に、民主党の「五原則五策」(09年衆院選マニュフェスト)が紹介されている。1) 官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ、2) 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ、3) 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ、4) タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆の社会へ、5) 中央集権から、地域主権へ。これを読むと、安倍さんは民主党の真似をした、と言われる所以がよく判る。党を越えて、受け継いだわけだ。

橘玲(サイト内検索)。日本人の「人格」の世俗性(損得勘定)、袖井林二郎「拝啓マッカーサー元帥様-占領下の日本人の手紙」、ジェームズ・ブキャナンら「行きづまる民主主義-公共選択の主張」。安倍政権の後世の評価は「悪夢の民主党政権」のリベラルな政策を実現したこと?(9/14)

菅義偉の正体

  • 2020/09/29 06:45
  • カテゴリー:読み物

うちの菅に何をしてくれたんだよっ

やり込めた相手を、そんな風にどやしつけてくれる支援者を持つ。その強力な後ろ楯は、港湾業界のドン。森功著「総理の影-菅義偉の正体」(小学館、16年)から(p162)。菅官房長官(当時)ご本人は、その古い付き合いについて「触れられたくないような印象を受けた」と著者は書いている(p182)。

「横浜の港湾荷役業界に君臨」し、「全国の陸海運関係者に睨みを利かせてきた」ドン、その存在は、自民党運輸族や国交省の官僚からも一目置かれる。当然、運輸族をリードする二階俊博とも昵懇だ。となると、そのドンを介して、菅と二階は、意外に、近いのかもしれない。

国鉄改革をめぐって、行革担当の橋本龍太郎と元運輸大臣の三塚博が大げんか、その仲裁に小此木彦三郎が呼ばれた際、秘書だった菅も「ついていった」(p119)。また、第3次小泉改造内閣で竹中平蔵が総務大臣のポストに就いたとき、菅は副大臣として郵政民営化に向け「実務の現場で汗を流した」(p186)。となると、「規制改革」の何たるか、特に党内の既得権者と醜い戦いになること、を知った上で、首相となった菅はそれを看板に掲げた、とも言える。

最終章は、「政治家と企業の距離が近づけば近づくほど、政治とカネにまつわる危険性が高まると言わざるをえない」と終わる(p302)。本書に登場する企業は、例えば、藤木企業、NHK、JR、國場組、USJ、京浜急行、三井不動産、三菱地所、セガサミー、三浦水産、上野運輸、横浜高島屋、崎陽軒など。どこかで「危険性」が高まりつつあるのだろうか。そうそう、作家の佐藤優がこんなことを言っていた。ラジオ番組「くにまるジャパン極」(文化放送、9/18)にて。

政治家二世三世は無理しなくていい、お金とか選挙区とか。菅さんは叩き上げだっていうことは、今のところは美談で済まされている。けれど、叩き上げは必ず無理をする。安倍政権とは桁が二桁違うスキャンダルが出て来る可能性がある。そうなると、モリカケとか言っていられないような状況になるんじゃないか、率直に言って心配している

敬称略。

森功(サイト内検索)。菅官房長官が密かに進めていた“総理への準備” 麻生副総理、横浜のドンに根回し(9/2)。「元首相・中曽根康弘の政治や行革手法を参考にして」(政界地獄耳、9/22

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