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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

海軍めしたき物語

  • 2020/11/11 06:51
  • カテゴリー:読み物

水加減といっても、シャバの一般家庭の小さな釜と同じだったことには驚いた(略)、だいたいのところ手のくるぶしの上位ということ

戦艦の烹炊所では、化学プラントの反応釜のような装置で飯を炊く。高橋孟著「海軍めしたき物語」(新潮文庫、82年)から(p116)。最近、棟田博の一連の著作を読む内に、この本のことを思い出し図書館で借りた。「面白半分」で連載(77年1月-79年3月号)を読み、単行本(79年8月刊)も読んだ。無性に懐かしい。

この文庫版には足立巻一による解説が付いている。出版の年、82年は、足立の名著「虹滅記」が刊行された年でもある。

1263夜『やちまた』(サイト内)、面白半分|Wikipedia

2020年の米国と日本

  • 2020/11/07 10:12
  • カテゴリー:読み物

トランプ政権は「アウトサイダーの大統領」と「共和党保守派」の合同政権となっている。両者の間には「トランプ大統領は保守派が持つ様々な政局・選挙・政策上の資源を利用しつつ、保守派もトランプ大統領の発信力・イメージを隠れ蓑として自らの政策を実現する」という共生関係が成立している。

政権の公約達成率はそこそこ高い、それも難しいものから熟(こな)している、と何かで読んだことがある。大統領の派手な言動やツィートは言わば「オトリ」であり、メディアや国民がそれに惑わされている隙に、イデオロギー色の強い保守派の政策を実現して来たのだった。渡瀬裕哉著「メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本」(PHP新書、20年)から(p24)。

新着コーナーにあるのをたまたま手に取った。大統領選の開票が進むこの時期にタイムリーな読み物だ。この本の第四章「2020年大統領選後」には、「トランプか民主党か」は問題ではない、軍事行動は似たり寄ったり、トリプルブルー政権がもたらす「経済成長の鈍化」、などの小見出しが並んでいる。この章からもう一つ引用しておこう(p147)。

大統領個人のパーソナリティというよりは、「連邦議会の多数派がいずれになるのか」「米軍が大規模な軍事行動を起こせる余力があるか」を丹念に分析することが大事

現時点(11/7 10時 JST)の開票速報は、大統領は民主党のバイデン候補、上院は共和党、下院は民主党、各々の優位を伝えている。このまま行くとトリプルブルーは回避されそうか。

コロナ禍の陰で格差と民主主義(いずれもサイト内)

格差と民主主義

  • 2020/11/06 06:48
  • カテゴリー:読み物

問題の存在を認めない「否認」、問題を認識しても責任逃れをしようとする「エスケープ(逃避)」の願望、問題を引き起こした人を「スケープゴート(身代わり)」にする傾向、そして、最悪なのが、問題改善の可能性を信じようとしない「シニシズム(冷笑)」である。

人が労力を惜しむ4つのメカニズム。ロバート・ライシュ著「格差と民主主義」(東洋経済新報社、14年)から(p168)。リーダーは他の人々を動かして、なすべきことを完遂させなければならない。そのためには、「世間のほとんどの人たちの頭に巣食っている」この4つのメカニズムを克服できるよう、手を貸す必要がある。

富裕層と金融取引に課税、企業助成対策と軍事費は削減、それをやってから、学校や、高等教育、幼児教育、道路、橋、公園、環境、公衆衛生、医療など、この国の未来に投資する(p176の図から)。

岐路に立つ資本主義(サイト内)

満州事変から日中戦争へ

  • 2020/11/03 06:32
  • カテゴリー:読み物

書記官長の森は「フロックコートを着て馬賊に対するような、国際正義外交を日本が一方的にやってみたところで何の効果もない」と放言するような人物であり、それは関東軍の方針と一致するものであった。

政権の要職にこんな好戦的な人物がいたんだな。引用は、加藤陽子著「満州事変から日中戦争へ-シリーズ日本近現代史(5)」(岩波新書、07年)から(p124)。

森恪(もりつとむ、1883-1932)、内閣書記官長。マイペディア97にこうある、「1920年三井物産を退社し,政友会代議士となる。東方会議を事実上主宰。1929年政友会幹事長,1931年犬養毅内閣の書記官長となる。対満強硬策を高唱し,軍部と結び満州事変ほか大陸侵略政策を推進」。

日中戦争の初年に投入された10個師団の役種内訳(1938年8月陸軍省調べ)、「現役兵の率16.9%、予備兵28.3%、後備兵41.5%、補充兵13.5%」(p216)。石原莞爾(参謀本部第一部長)は、対ソ戦に備えて満州での軍拡を企図し、上海や南京などの中国戦線には現役兵率の高い精鋭部隊を投入しなかったのだ。

戦争まで(サイト内)、森恪石原莞爾|Wikipedia

キャパへの追走

  • 2020/10/30 07:27
  • カテゴリー:読み物

かつて私が住んでいた部屋のある建物に向かって歩きかけて、危うく思い止まった。旅はなぞってはいけない。私が旅を重ねる中で、心に深く刻まれるようになった教訓が、それだったからだ。

著者は、キャパが撮った有名な写真の「現場」に行き、同じような構図で撮影する。「パリ解放」の代表的な一枚は、シャンゼリゼ通り、ジョルジュサンク駅の近く。そこは、また、著者が若い頃に滞在した街でもあった。沢木耕太郎著「キャパへの追走」(文藝春秋、15年)から(p218)。

登場する「現場」は40か所ほど。ヨーロッパが多い。その中で一か所だけ訪ねたことがある。マドリードのメトロGran Via駅(p90)。出張でスペインへ行くとマドリードから北へ向かうことが多かったので、その方面のAVEが発着するチャマルティン駅近くに宿泊した。いつだったか滞在中に、食事に誘われてマドリードの中心部へ出かけた夜があった。チャマルティンからメトロの一号線で南下。Gran Via駅で降りた。外に出てみると街がにぎやかなことにびっくりした。チャマルティンの宿の辺りは、マドリードと言っても、だいぶ街外れで、もの寂しい所。そこしか知らないので、スペインの首都全体がそんな感じだろうと思ってしまっていた。

キャパの十字架(サイト内)

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