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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

47都道府県格差

  • 2022/06/17 06:30
  • カテゴリー:読み物

高知では県に専門の部門を設けて、医師を含めた医療従事者全体の人材確保を進めており、そのための研修や助成制度が整備されています。医師だけでなく人口10万人あたりの看護師数も全国1位です。

医師数、病床数とも、トップは高知県。医師数は、最下位の埼玉県に比べて2倍以上、病床数の方は、最下位の神奈川に比して約3倍。いずれも人口10万人あたりの数字(2015年)をランキング。県の方針一つでそんなにも違いが出るもんなんだな。

引用は、木原誠太郎著「47都道府県格差」(幻冬舎新書、2017年)から(p39)。

ちょっと考えてみた。人口あたりと言っても、例えば、高齢者の人口あたりで計算してみると、各都道府県の医師数は、もしかすると似たような数字になるのかもしれない。それと、コロナ禍を経た今どうなっただろうか。医療に関する方針や施策を見直した自治体が少なくないはず。

デルフトの眺望

  • 2022/06/15 06:27
  • カテゴリー:読み物

フェルメールは、厳密な視覚的観察から離れても余裕があるようだ。デルフトの誰にとっても、その表現が不正確であることが明らかな絵画をフェルメールが描いたのであれば、室内図表現では、どれほど自由に描いていたことだろうか。

デルフトの街並みが描かれた「デルフトの眺望」は、「一見すると現実に即しているように見える」(p254)が、実際には「大まかにしか正しくなく、建物の比率や位置関係は操作されている」。引用は、ゲイリー・シュヴァルツ著「フェルメールの世界-拡大図でたどる静謐の物語」熊澤弘訳(パイインターナショナル、2022年)から(p26)。最寄り図書館の新着本コーナーにあった。

マルセル・プルーストが「失われた時を求めて」の中に、この絵に描かれた「黄色い小さな壁」を登場させた。これにより、「フランスでのヨハネス・フェルメールの存在を不滅のものとした」(p261)。その「壁」は絵の中にいくつか候補があるものの特定には至っていないらしい。

この絵画を所蔵する王立マウリッツハイス美術館(ハーグ)を訪ねたのは2003年12月のことだった。土曜日なのに、館内は閑散としていた。なにせオフシーズンで、しかも雨。しっかり降っている。2時間ほど滞在した間に人は数えるほどしかやって来なかった。「デルフトの眺望」や「真珠の耳飾りの少女」を、たっぷり味わうことができた。

その翌月(2004年1月)、ブラウンシュヴァイクを訪ねた折も土曜日だった。目当てはフェルメールの「ワイングラスを持つ少女」。がらがらの館内で学芸員の方と少し話をした。シーズンともなると団体がバスで押し寄せるけれど冬は静かなもんです、じっくり観るには寒い今頃がいいですよ、彼はそんなことを言った。

フェルメール(サイト内検索)。Gary Schwartz, Vermeer in Detail (Ludion 2017)、ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展(2022年、東京、札幌、大阪、仙台)

キジ殺し

  • 2022/06/13 06:22
  • カテゴリー:読み物

手がかりが少ないときに、「~だと聞きました」と言ってみれば、何かをつかめることがある。「ためしに言ってみる価値はある」というわけだ。自分の引き出しの中に持っている方便のひとつだ。

口からの出まかせが重要な物証の発見につながる。ユッシ・エーズラ・オールスン著「特捜部Q-キジ殺し」吉田薫・福原美穂子訳(早川書房、2011年)から(p238)。シリーズ第2作。部下が一人増えた。

映画「時計じかけのオレンジ」のことが何度か語られる。ワルの6人組は「数え切れないほど何度も観ていた」(p113)。あの映画に心酔し感化されていた。それを思うだけで不気味さが倍増する。

特捜部Qシリーズは勢古浩爾氏の著作で知った。この「キジ殺し」は「後味の悪いこと、おびただしい」「これははずれ」と低評価(「定年後に読みたい文庫100冊」p344)。次の第3作「Pからのメッセージ」がおもしろいとか。借りて来よう。

特捜部Q映画十選文庫100冊(いずれもサイト内)。まるで水銀をつかむ(p92)

[ 朝刊休刊日 ]

排除

  • 2022/06/11 06:33
  • カテゴリー:読み物

何でも、モナザイトとかいうレア・アースを精製する際に、水酸化トリウムという放射性物質が副産物として生産されるらしい。その水酸化トリウムを備蓄していたために、その採掘所がある村の住民が白血病などの放射能障害にかかったというんだ

実際にマレーシアで起きた環境汚染による被曝事件だ。これを題材とする小説があったとは知らなかった。ちょっと驚いた。

引用は、今野敏著「排除」新装版(実業之日本社文庫、2021年)から(p47)。潜入捜査シリーズの第2弾。初刊1992年。

そのレア・アース製錬会社には、日本企業が出資していた。小説の中では両社とも架空の名に変えられている。場所がマレーシアのイポー市である点は事実に倣っている。

今野敏(サイト内)。ARE事件|コトバンク、桜井洋子|Wikipedia

われらが痛みの鏡

  • 2022/06/09 06:22
  • カテゴリー:読み物

たしかにいちばんつらいのは、ただ待っていること、何を待っているのかもわからないことだった。

迫り来るドイツ軍を前に、前線の指揮系統は機能していない。引用は、ピエール・ルメートル著「われらが痛みの鏡」(ハヤカワ・ミステリ文庫、2021年)から(上巻p175)。平岡敦訳。

待つことの辛さは、再度、出て来る。「誰もが死ぬほどつらかったのは、ただ待っていることだった」(下巻p13)。ここにも指令が届かない。

ユニークな人物が登場する、稀代の詐欺師デジレ・ミゴー。前半は、情報省の係官としてメディア対応で弁を揮い、後半は、礼拝堂の司祭に成り済まして難民を救済する。小学校の教師や、パイロット、外科医、そして弁護士の前歴もある(上巻p87)。正体がばれそうになる、その前兆を察知するのに長けている。

三部作はこれで完結。本書のカバーそで(後ろ)にある作者紹介で「シリーズ最高傑作との呼び声も高い」と謳われる。どうだろうか。「天国でまた会おう」「炎の色」、そして本作と、段々萎んで行くように感じたのだが。

ピエール・ルメートル(サイト内)。村上春樹著「国境の南、太陽の西」、フランク・アバグネイル|Wikipedia

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