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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

ホワット・イフ?

  • 2020/04/13 06:29
  • カテゴリー:読み物

アスタチンに関しては、安全データシートは一切存在しない。あったとしても、そこには焼け焦げた血で「ノー」という文字が繰り返し書きなぐられているだけだろう。

ランドール・マンロー著「ホワット・イフ?」(早川書房、15年)から(p58)。ケミストの端くれとして興味深く読んだのは、「元素周期表を現物で作る」だった。その、あまり馴染みのないアスタチン(astatine)は、周期律表6段目のハロゲン。ヨウ素のすぐ下、元素記号At、原子番号85。同位体はすべて放射性。放射性のハロゲンか、なんとも恐ろしげな元素だ。

副題は、「野球のボールを光速で投げたらどうなるか」。原書の方は、"Serious Scientific Answers to Absurd Hypothetical Questions"。空想のバカげた質問に真面目に科学っぽく答えてみた、という感じだろうか。質問には、周期律表の話や、邦訳副題の光速の野球ボール、それから例えば、地球の海水を抜くとか、皆で月にレーザーポインターを照射するとか面白いお題が並んでいる。

xkcd.comPeriodic Wall of Elements - Randall Munroe、高木仁三郎著「元素の小事典」、化学愛好家の危険なDIY 爆薬、放射性物質を自作(4/12)

銀二貫

  • 2020/04/11 06:34
  • カテゴリー:読み物

術無い

高田郁著「銀二貫」(幻冬舎時代小説文庫、10年)から(p78)。術無い、それには、ずつないとルビが振ってある。実家の母がこの表現を時々使う。てっきり田舎の方言だろうと思い、これまで、辞書を引いたこともなかった。小説の中に登場するのを見て驚いた。

ずつない【術無い】形〔ずちなしの転。中世・近世語〕どうしようもない。くるしい。つらい。じゅつない。出典:「大辞林」(三省堂、95年、第2版)

# 心太(ところてん)、殷賑(いんしん)、二世(にせ)を契る。「恩義は石に刻み、かけた情けは砂に書き、恨みごとは水に流す」

裸足で逃げる

  • 2020/04/09 07:14
  • カテゴリー:読み物

それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる。

上間陽子著「裸足で逃げる-沖縄の夜の街の少女たち」(太田出版、17年)の帯から。強く印象に残ったのは、障碍のある幼児を抱え、看護師になることを目指した鈴乃だった。タイトルは「カバンにドレスをつめこんで」。彼女は、「第三希望だった病院に決まり、第二希望だったオペ室に配属になった」(p129)。「どうしようもない」状態から抜け出し、堪えぬいて、本当に良いと思える道を見付け出した。

まえがきに、学術研究のファンドを得るという話が出て来る。急いで著者のプロフィールを見た。琉球大の教授だ。時々インタビューの場などに登場する打越正行という方も研究者のようだ。

ビブリオバトル、20年3月(サイト内)、打越正行の研究室

知的ヒントの見つけ方

  • 2020/04/06 06:51
  • カテゴリー:読み物

どことなく映画を二度見している時のような感覚に何度も襲われてしまう。

還暦までとは違い、年を取って暦も二巡目になるとそんな風に感じるものなのだとか。立花隆著「知的ヒントの見つけ方」(文春新書、18年)から(p5)。月刊誌「文藝春秋」の巻頭随筆(14-17年)などから成っている。著者の博覧強記ぶりには驚かされる。

「戸塚洋二さんのこと」の項(p37)に、20インチ光電子増倍管ことが出ている。これを開発したのは、上場を果たす前の、浜松ホトニクス社だ。その会社のことは学生時代から知っていた。菅島の臨海実験所へ出かける度、皆さんが口にする社名をよく聞いていたのだ。特殊な顕微鏡や様々な光学機器を使っていた関係でその会社と行き来があったようだ。博士課程のIさんは、浜ホトと略して呼んでいた。生化学のみならず物理学にも造詣が深いそのIさんが、将来伸びる良い会社です、就職先にどうですかと、しきりにすすめてくれた。色々と熱く語ってくれたけれど、畑違いのおれはさっぱり興味が湧かない。記憶に残ったのは、飛騨の山奥で大プロジェクトが動いているということだけだった。それから何年か経ち、化学メーカーに勤めていたおれは、たまたま手にした科学誌で、カミオカンデに関する記事を読んだ。あ、これが飛騨の山奥のプロジェクトか、と遅ればせながら知ることになった。ノーベル賞級の研究に、浜ホトが多大な貢献をしたとある。こっちに就職しておけば良かったかなとその時ちらっと思ったものだ。実際にノーベル物理学賞を小柴氏が受賞するのは、さらに十数年後のことだった。

# 問うに落ちず語るに落ちる、怖(お)めず臆せず、恬淡、陥穽、20インチ光電子増倍管開発ストーリーウニハンドブック(サイト内)

住んでみたヨーロッパ~

  • 2020/04/03 06:15
  • カテゴリー:読み物

知らない土地へ行って、その町の豊かさを知るには、劇場のプログラムを見るか、動物園に行くに限る。

そのような無用の長物にお金を掛けられるのであればその自治体はまだまだ余裕がある。川口マーン惠美著「住んでみたヨーロッパ9勝1敗で日本の勝ち」(講談社+α新書、14年)から(p153)。ドイツとてクラシック音楽界は衰退傾向にある。財政難などで自治体がオペラハウスなどを支えられなくなっている。

ベルリンの新空港、その開港が延び延びになっている(p76)。あの街に前からあるテーゲル空港(TXL)は、ドイツ駐在時代に何度か利用したことがある。電車が通ってない、古くて手狭。そんな文句を言うと、現地の友人は、新しい空港があと3年ほどで完成するのでそれまでの我慢と応えた。それから既に十数年経つが今以て開港したとは聞かない。web検索してみると、今年20年10月にいよいよオープンするらしい。

TXLへ最初に降り立ったのは、04年3月、デュッセルドルフ(DUS)からの便でだった。発地のDUSの方は、TXLに比べてだいぶスマートな空港。あれ。以前、大阪中之島の会社に勤めている頃に、出張で来たことがあるけれど、こんな空港だったかなぁ。地震があった年だから95年だ。十年ほどの間に別の空港になったかのようだ。友人に聞くと大きな火災事故があったと言う。言われてみるとそのことを聞いた覚えがある。再建されたのだ。今あらためて調べてみた、その事故は96年のことで、17名の方が亡くなる惨事だったとか。

2004/03/20 08:25 DUS-TXL LH248 BAe146-300 D-AEWA
1995/06/23 09:35 DUS-BSL LH5570
1995/06/19 19:30 LHR-DUS BA946

ベルリン・ブランデンブルク国際空港 - Wikipediaベルリン新空港、来年10月開港 設備不良で9年遅れ(19年11月)。Düsseldorf Airport - Wikipedia。ノルウェー、自国の電力はほぼ100%水力、石油は輸出(p51)

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