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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

日本人は右傾化したのか

  • 2020/04/15 07:08
  • カテゴリー:読み物

今のところ日本では、右傾化した自民党が一部極右層の受け皿にもなっているおかけで、極右ポピュリスト政党の台頭を防いでいるとみることも可能

なるほど。妙な役の立ち方があるものだ。田辺俊介編著「日本人は右傾化したのか-データ分析で実像を読み解く」(勁草書房、19年)から(p159)。

本書の終章第1節は前章までのまとめ。いわく、13年と17年のデータ比較では、やはり、中韓に対する排外主義や民族的純化主義は強まり、自民党への支持には愛国主義の影響が増大している。一方で、一般に左と見なされる脱原発の世論が維持されるなど、右傾化一辺倒というわけでもない。続く第2節が興味深い。右とか左とかの議論が、国内に深まりつつある格差の問題を覆い隠していると指摘する。

# 「在日特権を許さない市民の会」(在特会)、「インターネットを通じた政治議論は、基本的に特定の主義主張の人々が集まりやすい(p16)、「真の要因が何であるかに関係なく、そのときの株価や景気が上昇傾向にあれば政権の支持率が高まる(p157)、「若者世代において安倍への評価が相対的に高いのは、まずもって原発の利用に象徴される方向性への共感(p243)。安倍首相の「政治判断」に納得しない人たち コロナウイルス巡る世論(3/20)

ホワット・イフ?

  • 2020/04/13 06:29
  • カテゴリー:読み物

アスタチンに関しては、安全データシートは一切存在しない。あったとしても、そこには焼け焦げた血で「ノー」という文字が繰り返し書きなぐられているだけだろう。

ランドール・マンロー著「ホワット・イフ?」(早川書房、15年)から(p58)。ケミストの端くれとして興味深く読んだのは、「元素周期表を現物で作る」だった。その、あまり馴染みのないアスタチン(astatine)は、周期律表6段目のハロゲン。ヨウ素のすぐ下、元素記号At、原子番号85。同位体はすべて放射性。放射性のハロゲンか、なんとも恐ろしげな元素だ。

副題は、「野球のボールを光速で投げたらどうなるか」。原書の方は、"Serious Scientific Answers to Absurd Hypothetical Questions"。空想のバカげた質問に真面目に科学っぽく答えてみた、という感じだろうか。質問には、周期律表の話や、邦訳副題の光速の野球ボール、それから例えば、地球の海水を抜くとか、皆で月にレーザーポインターを照射するとか面白いお題が並んでいる。

xkcd.comPeriodic Wall of Elements - Randall Munroe、高木仁三郎著「元素の小事典」、化学愛好家の危険なDIY 爆薬、放射性物質を自作(4/12)

銀二貫

  • 2020/04/11 06:34
  • カテゴリー:読み物

術無い

高田郁著「銀二貫」(幻冬舎時代小説文庫、10年)から(p78)。術無い、それには、ずつないとルビが振ってある。実家の母がこの表現を時々使う。てっきり田舎の方言だろうと思い、これまで、辞書を引いたこともなかった。小説の中に登場するのを見て驚いた。

ずつない【術無い】形〔ずちなしの転。中世・近世語〕どうしようもない。くるしい。つらい。じゅつない。出典:「大辞林」(三省堂、95年、第2版)

# 心太(ところてん)、殷賑(いんしん)、二世(にせ)を契る。「恩義は石に刻み、かけた情けは砂に書き、恨みごとは水に流す」

裸足で逃げる

  • 2020/04/09 07:14
  • カテゴリー:読み物

それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる。

上間陽子著「裸足で逃げる-沖縄の夜の街の少女たち」(太田出版、17年)の帯から。強く印象に残ったのは、障碍のある幼児を抱え、看護師になることを目指した鈴乃だった。タイトルは「カバンにドレスをつめこんで」。彼女は、「第三希望だった病院に決まり、第二希望だったオペ室に配属になった」(p129)。「どうしようもない」状態から抜け出し、堪えぬいて、本当に良いと思える道を見付け出した。

まえがきに、学術研究のファンドを得るという話が出て来る。急いで著者のプロフィールを見た。琉球大の教授だ。時々インタビューの場などに登場する打越正行という方も研究者のようだ。

ビブリオバトル、20年3月(サイト内)、打越正行の研究室

知的ヒントの見つけ方

  • 2020/04/06 06:51
  • カテゴリー:読み物

どことなく映画を二度見している時のような感覚に何度も襲われてしまう。

還暦までとは違い、年を取って暦も二巡目になるとそんな風に感じるものなのだとか。立花隆著「知的ヒントの見つけ方」(文春新書、18年)から(p5)。月刊誌「文藝春秋」の巻頭随筆(14-17年)などから成っている。著者の博覧強記ぶりには驚かされる。

「戸塚洋二さんのこと」の項(p37)に、20インチ光電子増倍管ことが出ている。これを開発したのは、上場を果たす前の、浜松ホトニクス社だ。その会社のことは学生時代から知っていた。菅島の臨海実験所へ出かける度、皆さんが口にする社名をよく聞いていたのだ。特殊な顕微鏡や様々な光学機器を使っていた関係でその会社と行き来があったようだ。博士課程のIさんは、浜ホトと略して呼んでいた。生化学のみならず物理学にも造詣が深いそのIさんが、将来伸びる良い会社です、就職先にどうですかと、しきりにすすめてくれた。色々と熱く語ってくれたけれど、畑違いのおれはさっぱり興味が湧かない。記憶に残ったのは、飛騨の山奥で大プロジェクトが動いているということだけだった。それから何年か経ち、化学メーカーに勤めていたおれは、たまたま手にした科学誌で、カミオカンデに関する記事を読んだ。あ、これが飛騨の山奥のプロジェクトか、と遅ればせながら知ることになった。ノーベル賞級の研究に、浜ホトが多大な貢献をしたとある。こっちに就職しておけば良かったかなとその時ちらっと思ったものだ。実際にノーベル物理学賞を小柴氏が受賞するのは、さらに十数年後のことだった。

# 問うに落ちず語るに落ちる、怖(お)めず臆せず、恬淡、陥穽、20インチ光電子増倍管開発ストーリーウニハンドブック(サイト内)

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