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カテゴリー「読み物」の検索結果は以下のとおりです。

12月25日の怪物

  • 2021/09/23 06:23
  • カテゴリー:読み物

英語読みの「セント・ニコラウス」(Saint Nicholas)の「ニ」が抜け落ちて、サンタクロース(Santa Claus)へと訛っていった。

サンタクロースのルーツの一つがトルコ出身の聖ニコラウス(3-4c)。彼を尊ぶ祭が欧州の冬至祭と結び付く。その後、宗教革命の影響もあり、祭のイベントだったプレゼントは、キリストの生誕日クリスマスに行われるように変更された。高橋大輔著「12月25日の怪物-謎に満ちたサンタクロースの実像を追いかけて」(草思社、2012年)から(p120)。

まったく関係ないけれど、先頭の文字が脱落したと言えば、ジプシー(Gypsy)もその例として知られている。エジプトから来た人たち(Egyptian)と誤解されていた。その先頭の音が落っこちた。シューマンの合唱曲「流浪の民」(Zigeunerleben)で唄われる「ニイルの水」はナイル川のこと、そう聞いた覚えがある。

# 高橋大輔(サイト内)。ヤンキーとはヤーンとキース(オランダ人の名、p116)

たった一人の生還

  • 2021/09/16 06:14
  • カテゴリー:読み物

私は常に空気孔を背にして座るようにしていた。

同じ事が二度語られる(p127、242)。佐野三治著「たった一人の生還-たか号漂流二十七日間の闘い」(新潮文庫、1995年)から。

なぜそうしていたか、その理由は、はっきりとは述べられない。察することはできる。「みんなに幻覚症状が起こり始め」「ラフトの中はのっぴきならない状況に陥りつつあった」。それでも著者は冷静だった。ボートの空気が抜ける事態だけは避けねばならないと。

文庫100冊、松田宏也著ミニヤコンカ奇跡の生還(いずれもサイト内)。「神様なんかこの世にいねぇよ……」ヨットが転覆し、わずかな水とビスケットで太平洋を漂流した27日間(2018年)

凶犯

  • 2021/09/14 06:24
  • カテゴリー:読み物

彼らは、心底憎みきっている相手に、表立っては反対できないものの、誰かがこれを始末してくれることを期待しているのだ。荒唐無稽と言ってしまえばそれまでだが、これは確かな事実だ。もしかしたら、これは中国人に最も典型的な恨みの晴らし方なのかもしれない。ならば、「四兄弟」のような連中がすべて一掃された時、中国人の個性も激変するのだろうか。

暴力と金で村を牛耳る「四兄弟」。それはまた、政治や社会の矛盾、官僚の汚職、退廃的な世情、貧富の差など、国が抱える諸問題の象徴でもある。引用は、張平著「凶犯」荒岡啓子訳(新風舎文庫、2004年)から(p321)。

勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」のあとがきで、本書が紹介されている。脱稿した後に「どうしても一冊加えたい」本だったと。実際に読むとその気持ちがよく判る。「凶犯」、この話は確かにすごい。

文庫100冊(サイト内)

雑貨の終わり

  • 2021/09/10 06:25
  • カテゴリー:読み物

いつも思うのだが、せまい自室にひろがる雑多な物のなかに無印良品の簡素な品をぽんとおいた瞬間の、えもいわれぬもの悲しさはなんであろうか。それは私たちが追いもとめるライフスタイルという言葉のもつ、ある種の空虚さと似ている。

三品輝起著「雑貨の終わり」(新潮社、2020年)に所収の「印の無い印」から(p63)。図書館で借りて来てから随分と時間が経った。なぜこの本を借りたのかよく覚えていない。たくさん借りておいた本も、だいたい読んでしまって終わりが近付いている。図書館のお休みは続く。

テーブルのデザインを検討し図面を起こす際に、無印良品のパンフレットをさんざ眺めたことがあった。出来上がりは、似ても似つかないデザインになったけれど。

10の木工作品第13作は兼用卓(いずれもサイト内)

間宮林蔵・探検家一代

  • 2021/09/08 06:30
  • カテゴリー:読み物

ユーリ先生は卑屈にへつらい、暗がりで業者に金を手渡した。怪しい取引のようだ。わたしは何とも惨めな気分を味わった。ガソリンを買うのにこれだけの苦労をし、平身低頭しなければならないとは。持てる者と持たざる者。ガソリンを握っている者は強い。持たざる者は手に入れることに丸一日を費やし、頭を下げ続け、空しく路頭に迷わねばならない。

高橋大輔著「間宮林蔵・探検家一代-海峡発見と北方民族」(中公新書ラクレ、2008年)から(p166)。間宮林蔵の足跡をたどる探検物語。ハイライトは第三章「失われたデレンを求めて」。清(満州)との交易(朝貢)の地、デレン、そこは現在のノヴォイリノフカ辺りだとか。アムール川(黒竜江)沿いの地。

例えば、現在の日本でガソリン買うのに、持たざる者の惨めさを味わうことはない。それは、商社マンや政府の役人が代わりに頑張って確保してくれている御蔭だ、そんなことをあらためて思った。

最後の第六章「血族」で、林蔵が遺した別の血筋が紹介される。それもあって全体の構成が、足立巻一「虹滅記」に似ていると感じた。

# 高橋大輔(サイト内)

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